『狼と香辛料』『ONE PIECE』ほか続く2000年代アニメ化作のリメイク、その裏にある諸事情と今後
たくさんの新作アニメが放送/配信されていますが、かつてアニメ化された人気作が再度アニメ化される……つまりリメイク作品も増えてきました。しかもそのなかには2000年代にアニメ化された作品もあります。今回はそうしたアニメが生まれる事情について推察してみました。
Netflixで配信される『THE ONE PIECE』
近年、2000年代アニメのリメイクが続いています。最近では『シャーマンキング』や『東京ミュウミュウ』の2度目のアニメが放送され、この春からは『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』や『バーテンダー 神のグラス』が始まりました。さらに今後、『ONE PIECE』のリメイク(こちらの現行作は正確には1999年10月スタートですが、ほぼ2000年代ということで)も発表されています。こうした動きはなぜ活発化しているのでしょうか。
まず、ここで言う「リメイク」とは、ある作品を新たに作り直すことです。原作の未アニメ化部分を久々のアニメで展開する『キン肉マン』や『BLEACH』(映画ですが『THE FIRST SLAM DUNK』もここに含められるかもしれません)、あるいは最近劇場上映を行った『天元突破グレンラガン』や『秒速5センチメートル』のようなリブート/リバイバルといえる作品とは異なります。それらと違い、リメイクすることによるメリットとして、すでにある程度の知名度があって既存のファンはもちろん、物語の最初から作り直すことで新規ファンの開拓にもつながることが挙げられます。
もちろん、これまでもリメイク作品はありました。現在も放送中の『うる星やつら』がその筆頭として挙げられるでしょう。同作については、小学館創業100周年を記念しての再アニメ化だと明らかにされており、同社で活躍し続ける高橋留美子先生のデビュー作を4クールにもわたって展開することにも納得できます。
このようなリメイクの事情を推測してみると、『ONE PIECE』については比較的分かりやすいでしょう。東映アニメーションによるアニメが放送されているなか、2023年12月にWIT STUDIOによって「東の海(イーストブルー)編」から再アニメ化されるという『THE ONE PIECE』の発表は大きな話題となりましたが、配信先はNetflixです。
近年は動画配信サイトによる作品への出資(およびそれに伴う独占配信)は多くの作品で行われています。Netflixは2023年8月に実写版『ONE PIECE』を独占配信しましたが、同作の世界的なヒットを経て『ONE PIECE』という作品のバリューを確信し、以前から進められていた『THE ONE PIECE』の企画も発表した……と想像できます。