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「完成度高っ!」未完の大作の代名詞『ガラスの仮面』40年前のアニメ第1作を振り返る

オープニングのマヤは絶えず笑顔だが……

「想い出のアニメライブラリー 第63集 ガラスの仮面 Blu-ray」(ベストフィールド) (C)美内すずえ/エイケン
「想い出のアニメライブラリー 第63集 ガラスの仮面 Blu-ray」(ベストフィールド) (C)美内すずえ/エイケン

 ナレーションの後に始めるオープニングアニメーションは、黒一色を背景にレオタード姿のマヤが躍動する極めて特徴的なスタイルで、当時としては少々、煽情的なレベルであったように思います。

 次々と登場するキャラクターたちがみな一様に自らの意志を秘めた表情をしているなか、ただひとり、マヤのみが笑顔というのも目を引くポイントでした。しかし、この目を見開いたマヤの笑顔はどこか空虚さを感じさせられるものであり、もしかしたら「仮面をかぶって踊っているのではないか」「仮面をかぶっていない時のマヤの顔とはこういうものではないのか」と考えさせられる演出でもあります。

 ストーリーとしては前述したように、マヤと月影先生を次々と試練が襲う中、マヤの圧倒的な才能と紫の薔薇の人をはじめとする周囲の支援で切り抜け続けるという、ほぼ原作通りの展開が続きます。舞台「奇跡の人」の演技でマヤが表彰され、月影先生がそれまでのマヤに加えて、亜弓も「紅天女」の主演候補として指名するところで完結しました。総集編はストーリー全体を月影先生の視点から描いており、タイトルは「わたしのマヤ」と、極めて深い意味を感じさせるものとなっています。

 その後にマヤを待ち受ける陰謀と凋落、そして再起までを描くまでには至らなかったエイケン版ながら、当時のアニメとしては非常にクオリティが高い作品となりました。

 なおTVアニメ『ガラスの仮面』にはその後、2005年から2006年にかけTV放送された「東京ムービー(現トムス・エンタテインメント)版」が存在します。エイケン版とはつながりのない新作として再アニメ化されたもので、原作の41巻までを忠実になぞり、独自解釈で一応の決着がつけられています。

 しかし難しいのはわかっていますが、やはり長年の読者としては原作の完結を待ち望んでいるというのが本音ではあります。原作の最新刊である49巻が発売されてから12年が経ちました。二番目の掲載誌だった「別冊花とゆめ」は6年前(2018年)に休刊しましたが、最初の掲載誌だった「花とゆめ」本誌はまだ残っています。「連載再開」の文字を見たいのは、まだ日本中に大勢いらっしゃるはずなのです。

(早川清一朗)

【画像】白目は剥いてなかった…! 原画で見るおなじみ月影先生の「おそろしい子!」のシーン ほか初期と最新の絵柄を見比べてみる(8枚)

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