なぜ『ガッチャマン』は国民的ヒーローアニメになった? 人気の理由を読み解く
「5人そろって」はガッチャマンが先だった

第2に、本作は「5人ヒーロー」の原点であり、複数人ヒーローチームの集大成的な位置づけでもあります。
こんにち、「スーパー戦隊」シリーズの第1作として扱われる『秘密戦隊ゴレンジャー』の放送開始は1975年5月のことで、本作『ガッチャマン』はそれよりも3年前に当たります。
かといって、『ガッチャマン』はチーム戦隊の元祖ではありません。それ以前にテレビアニメ『レインボー戦隊ロビン』や『サイボーグ009』もあり、タツノコプロ創始者である吉田竜夫氏が原作の特撮番組『忍者部隊月光』もありました。
それぞれに人気を勝ち得た作品群ではありますが、それぞれ「少年の隊長のもとのロボット部隊」「スパイアクションが大流行していた昭和30年代」という背景を持ち、そのまま現代劇(昭和40年代とはいえ)に持ってくるわけにはいかないでしょう。また9人のサイボーグ戦士も、石ノ森章太郎先生の大長編マンガ原作あればこそで(当時は石森名義)、1話30分弱のオリジナルアニメでは扱いかねていたはずです。
そして本作の5人は、熱血漢、ニヒル、紅一点、子供(ターゲット視聴者と同じ年齢層)、巨漢とハッキリとした個性を与えられています。この中では熱血漢とニヒルのライバル関係、紅一点の恋愛感情、子供の意外な活躍、いざというとき頼りになる巨漢など話のバリエーションが作り放題です。
この型がいかに優れているかは、『ゴレンジャー』や『超電磁ロボ コン・バトラーV』のメンバー構成に踏襲されていることでも証明されています。各メンバーが操縦する「Gメカ」が合体して大型戦闘機「ゴッドフェニックス」になるのも先取り……と言いたいところですが、ゴッドフェニックスは「一番大きなG-5が他の4機をほぼ収納しているだけ」なので、その域には至っていません。
また基本5人という数は最近のスーパー戦隊が引き継いでおり、それぞれのキャラクターを掘り下げられていることでも「最適解」なのでしょうね。
『マッハGoGoGo』と『機動戦士ガンダム』の狭間にあるメカデザイン
さらに注目すべきは、登場メカがどれも秀逸だったことです。本作がアニメ史上初めて、空想メカをデザインする役職として「メカニックデザイン」をクレジットしたのは広く知られている事実です。
その史上初のアニメ・メカデザイナーとされたのが、中村光毅氏と大河原邦夫氏のおふたりでした。つまり、後の『機動戦士ガンダム』での美術監督&メカデザインの名コンビです。
中村氏は美術監督でありながらタツノコプロ作品のメカデザインを早くから手掛けており、『マッハGoGoGo』の「マッハ号」や『ヤッターマン』の「ヤッターワン」が有名でしょう。大河原氏のご活躍は言わずもがなですが、元々は中村氏の弟子であり、背景マンからメカデザインへと転じたのでした。
本作で中村氏はゴッドフェニックスを手がけ、大河原氏は敵メカや自動車などほか全てを任されました。さらには『ファイナルファンタジー』シリーズで知られる天野喜孝氏もタツノコ在籍時代、本作に関わり、天野氏が「ミイラ巨人」を、壊れるにつれ露出するその内部メカを大河原氏がデザインするなどしています。
タツノコにいたふたつの巨大な才能が、やがて違う制作スタジオの『機動戦士ガンダム』に参加し、師匠はスペースコロニーやホワイトベース内部の生活感あふれる美術を手がけ、弟子は主役ロボの存在感を食うほど「ザク」などモビルスーツを続々と量産しました。その原点である『ガッチャマン』が異彩を放っていたのも頷けることです。
(多根清史)