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コロナの影響で公開延期の新作ドラえもん 感動の第1作『のび太の恐竜』を振り返る

大胆にアレンジされた『のび太の新恐竜』

『映画ドラえもん のび太の恐竜 2006』DVD(ポニーキャニオン)
『映画ドラえもん のび太の恐竜 2006』DVD(ポニーキャニオン)

 1979年からスタートしたテレビ朝日版『ドラえもん』は、ドラえもん役の大山のぶ代さんをはじめとする声優陣のチームワークが絶妙でした。2005年に声優陣が一新された際も、新キャストによる劇場版は『のび太の恐竜』を実直にリメイクした『のび太の恐竜2006』でした。ピー助の幸せを願うのび太に対し、ドラえもんとしずかちゃんだけでなく、いつもはのび太をからかってばかりいるジャイアンとスネ夫も全力でサポートします。

 声優陣の交代は新キャストには大変なプレッシャーだったと思いますが、1年お休みした劇場版の新作が『のび太の恐竜2006』に決まり、「これでクビにならずに済む」と新しいドラえもん役の水田わさびさんは安堵したそうです。映画の中ののび太やドラえもんたちと同様に、新キャストも一致団結することで難しい時期を乗り切りました。『のび太の恐竜』『のび太の恐竜2006』はファンだけでなく、キャストやスタッフにとっても大切な作品となっています。

 シリーズ40作目となる『のび太の新恐竜』は、原作を忠実に映画化した前2作に比べ、思い切った脚色が加えられています。前2作では卵から生まれてくるピー助は首長竜でしたが、『のび太の新恐竜』ではまだ誰にも発見されていない未知の恐竜が生まれてくるのです。しかも、ミューとキューという双子の恐竜です。

 このシーンを観て、東宝の怪獣映画『モスラ対ゴジラ』(1964年)に登場したモスラの双子の幼虫を思い出すお父さん世代もいるかもしれません。弱肉強食のルールによって成り立つシビアな恐竜時代を、のび太が育てたミューとキューが無事にサバイバルできるかが大きな見どころとなっています。

劇場で大山のぶ代さんが見せた機転

 最後にシリーズ第1作『のび太の恐竜』の劇場公開時のエピソードを。公開初日、客席は子供たちで溢れ返り、二階席までスズナリ状態になっていたそうです。当時の映画館は座席指定ではありませんでした。舞台あいさつのために劇場に来ていた大山のぶ代さんは、客席の様子を見るや劇場事務室のマイクを借りて、次のようにアナウンスしたそうです。

「コンニチワ、ぼくドラえもんです。ホンジツは大変混み合っています。みなさん、押し合ったり、ふざけっこなどしないで、仲良く映画を観てください。ぼく、ドラえもんからのお願いで~す」

 大山さんの機転もあって、劇場版第1作の公開は事故もなく無事成功し、現在に至っています。私生活での大山さんは「体操のおにいさん」砂川啓介さんとのおしどり夫婦として知られていましたが、お子さんはいません。26年間にわたって声優を務めたドラえもんは、家族同様の掛け替えのない存在でした。そんな大山さんが演じたドラえもんだけに、ロボットなのに母性を感じさせる温かみのあるキャラクターとなっていたのではないでしょうか。

 自分ではない誰かのためだからこそ頑張ることができる。『のび太の恐竜』には時間を経ても色褪せることのない感動が詰まっています。

●『映画ドラえもん のび太の新恐竜』スペシャルPV~Mr.Children W主題歌ver.~

(長野辰次)

【画像】初めて観た映画『ドラえもん』は?(5枚)

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