『マクロスΔ』は何が“ザンネン”だったのか? 「ワルキューレ」大躍進もアニメの評価はイマイチ
登場人物・勢力・惑星が多すぎた?

まず今回「Δ」の文字が冠された理由としては、「歌」「戦闘」「三角関係」を忘れないようにあえて付けたと事前に説明がありました。なぜあえて「忘れないように」と付け加えねばならなかったのか。おそらくは、歌姫がふたりだった前作『マクロスF』から一気に5人に増えた、ワルキューレに力を入れるあまり、他の要素が薄くならないように最初から気を付けなければいけない状況だったと思われます。
また『Δ』ではチーム戦もコンセプトのひとつとして挙げられており、Δ小隊&ワルキューレVS空中騎士団の3つのチームが激しい戦いを繰り広げています。これだけでも描写しなければいけないキャラクター数が二桁を超えており、関係性を丁寧に描くのは難しくなっています。
主人公側だけでも動かすのが大変なキャラクター量の上、敵方の描写に割かれる尺も多く、結果として恋愛がらみの「三角関係」が十分に描き切れなかったのではないでしょうか。
また、厳しいと感じられたのが、舞台となる惑星がコロコロと変わる点です。風土気候の違いや登場する民族が増加するなど、さらなる情報量の増加につながっていました。どこかで情報を取り損ねると、今どこで誰が何をやっているのか分からない状況になりがちだったように思えます。こうなるとストーリーではなく、ワルキューレのパフォーマンスを楽しむ傾向が強くなるでしょう。
戦闘面ではΔ小隊のエースパイロット「メッサー・イーレフェルト」と空中騎士団のエースである「キース・エアロ・ウィンダミア」のライバル性が非常に力を入れて描かれ、一騎打ちの結末など見るべき点は数多くありました。しかし主人公であるハヤテは割を食ってしまい、存在感が薄くなってしまったのは否めません。
主人公の存在感が薄まれば、ハヤテ&フレイア&ミラージュの三角関係も力のある描写とはなりません。この点、2021年に公開された劇場版『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』はワルキューレのパフォーマンス、そしてハヤテとフレイアの純愛にほぼ特化しています。ミラージュにも、初代『マクロス』から登場している、祖父である「マクシミリアン・ジーナス」とのからみという特別な出番がありました。とはいえ、生真面目さゆえにパイロットとしても恋愛相手としても、なかなか殻を破れなかった彼女には、マックスくらいの劇薬が必要だったということでしょう。少々不憫な気もします。
(早川清一朗)



