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映画『華麗なる覚醒』のハーレイ・クインは何者なのか? 自らを解放し突き進む女性像

女性たちをとりまく問題に立ち向かう存在に

近年の原作コミックでは、ジョーカーから独立したキャラクターとして描かれることの多い、ハーレイ・クイン。画像は『Harley Quinn: A Celebration of 25 Years』 (C)DC Comics
近年の原作コミックでは、ジョーカーから独立したキャラクターとして描かれることの多い、ハーレイ・クイン。画像は『Harley Quinn: A Celebration of 25 Years』 (C)DC Comics

 ハーレイ・クインが登場したのは、1990年代のTVアニメシリーズが最初。多くの犯罪者を収監するアーカムアサイラムに勤務していた精神科医のひとりでしたが、犯罪のカリスマ「ジョーカー」の歪んだ精神構造を研究するうちに魅了され、恋に落ちてしまいます。その後、ジョーカーを模倣して道化師の姿をしたヴィランになり、ジョーカーと組んで犯罪を繰り広げていくのです。

 ハーレイはジョーカーへの愛が行動原理になっていますが、ジョーカー自身は彼女のことを基本的に疎んでおり、非情な扱いをすることも。ジョーカーのために尽くすも、ジョーカーの考えに反対したり、ついには愛想を尽かしたりというところに、ハーレイ・クインらしさが出ています。原作によっては、単にラブラブなカップルというわけではないのですが、ジョーカーとハーレイの関係は暗いバットマンの世界では異色に映ります。

 現在、ハーレイは独立したキャラクターとして多く描かれています。『The New 52』で再始動したハーレイの物語で、ハーレイは完全にジョーカーから独立。初期にはまだ元カレことジョーカーを引きずっている描写がありますが、新しい仲間に出会ったり、ヒーロー活動を行うなど、自分の人生を歩み始めます。コミック後半ではジョーカーが登場するも、以前のように心を持っていかれることもなく、独立した女性として描かれているのです。

 また、原作でのハーレイは、ジョーカーから離れている間、植物を操る女性ヴィランであるポイズン・アイビーと同居し、ハーレイのバイセクシャルな側面も描かれます。

 ハーレイ・クインはそのビジュアルだけでなく、狂気的な愛や、原作などで見せる同性への愛といった多面性をもっていることが、「バットマン」シリーズにおける人気につながっているといえるでしょう。

 映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』で、ハーレイと敵対するブラックマスクを演じるユアン・マクレガーは、「今作は日々女性が直面する、女性に対する蔑視や軽蔑、嫌悪“ミソジニー”を扱っている」と語り、ハーレイは女性をとりまくさまざまな問題にも立ち向かっていけるようなキャラであるといいます。

 映画のタイトル通り、ハーレイ・クインの「覚醒」した姿が全米で公開されるや、SNSなどで絶賛の声が続々とあがっています。ここ日本でも、彼女はさらに多くのファンを獲得していくことになるでしょう。

(大野なおと)

●映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』本編映像(潜入編)

【画像】ジョーカーと破局し自暴自棄に? マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クイン(4枚)

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