『デッドプール』はなぜ愛される? ディズニーにR指定を持ち込んだ、狂気のヒーロー
「少年ジャンプ+」でのコラボ連載『デッドプール SAMURAI』でも注目を集めているデッドプールというキャラクターは、一般的なヒーロー像とはかけ離れた異色の存在です。にもかかわらず、3作目の劇場映画の製作も決定しています。なぜ彼は多くのファンに愛されるのでしょうか。
映画第3作が決定、おしゃべり好きの破天荒男

2021年1月に、ディズニー資本映画でありながら、「R指定」作品の製作が明らかにされました。それは、2021年で誕生30周年を迎える破天荒キャラクター、『デッドプール』の第3弾映画です。
映画版『デッドプール』はMARVELによる原作コミックをもとに、2016年と2018年に20世紀フォックス資本の映画として公開されています。赤いコスチュームに二振の刀、二丁拳銃を身に纏った姿で、暴力表現や放送禁止用語などを多用するR指定ヒーローとして話題になっています。
20世紀フォックスがディズニーに買収され、続編の先行きが不透明になっていましたが、このほどディズニー初のR指定映画として始動することになったものです。映画会社の壁を超え、ディズニーにR指定を持ち込むという偉業(?)を成し遂げている『デッドプール』とは、どのようなキャラクターなのでしょうか。
正義感が強く、誰もが憧れるヒーロー像は、彼には皆無。常に“おしゃべり”と“コミカル”を徹底。息するように下ネタや悪口、皮肉を言います。正義の概念は「自分がそうしたいから」。「ヤバイ」という一言で表せるほどの個性が、彼の魅力のひとつといえます。
デッドプールの特徴的な能力のひとつが「第四の壁の認知」です。舞台用語として使われる「第四の壁」は、舞台と客席を分ける一線のこと。通常客席は「壁」であり、普通は客はそこにいないという前提で役者は演技をしています。デッドプールはこの第四の壁を理解しており、読者や視聴者の存在を認知しているのです。
彼はコミックでセリフが入るフキダシが見えており、ナレーションと会話したりすることも可能。映画でも作品を見ている“客”に積極的に話しかけてきます。「自身がコミックのキャラであると思い込んでいる」という設定が、他のキャラクターとは別格の個性を感じさせるのです。
ヒーローとしての能力では、斬られようが、粉々になろうが再生する超回復能力に加え、決して死なない不老不死の体を持っています。白兵戦や射撃、刀剣を使った戦いにも優れています。
彼がデビューしたのは30年前に刊行された『New Mutants #98』で、暗殺のために雇われた悪党のひとりとして生まれましたが、そのユニークな設定で人気が高まり、さまざまなヒーローたちとの共闘などが増えていきました。
しかし、デッドプール自身は殺人を躊躇しないという考えを持ち、その言動のせいで、ヒーローチームへの参加を常々希望していても、チーム入りを断られ続けている……という点からも、稀なポジションでキャラを確立させてきました。