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劇場版『ガンダム00』観客ア然シリーズ初の超展開 けどやっぱ笑わせに来てるっしょ?

テレビシリーズのテーマ「対話」を徹底追及、「メタル刹那」の破壊力

「俺がガンダムだ!」の名セリフで知られる刹那(手前)は、ガンダムっぽい「メタル刹那」になれて本望か。「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」DVD(バンダイナムコフィルムワークス)
「俺がガンダムだ!」の名セリフで知られる刹那(手前)は、ガンダムっぽい「メタル刹那」になれて本望か。「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」DVD(バンダイナムコフィルムワークス)

 まさに「未知との遭遇」となった人類とELSとのファーストコンタクトは、対話どころではありません。ELSは自在に変形できる金属の身体を持ち、モビルスーツや戦艦などを取り込み機体の性能や武装、果てはGN粒子(『00』世界を支える粒子)まで再現してしまいます。

 人類が最新鋭のテクノロジーで攻撃すれば、ELSは驚異的なスピードで学習し、同じ手口でやり返します。しかも、連邦軍の1万倍もの数があります。倍返しどころか1万倍返しです。

 ネタを明かせば、ELSは人類を攻撃しているつもりはありません。彼らにとってコミュニケーションの手段は「脳量子波」と「同化」であり、しかも「個」という概念がなく「群」全体のネットワークのなかで生きています。

 つまり、「脳量子波を持つ人と同化したら死んじゃった」だけ、「人類がモビルスーツで攻撃してきたから『同化』により応えた」だけ、にすぎません。人類が先に殴ってきたために、それが「対話」のやり方だと勘違いして、あいさつ代わりに戦闘しているだけです。

 ビームを1発撃てば1万発返ってくる、天を埋め尽くす宇宙怪獣(ELS)というビジュアルは、客観的にはガンダムよりも『トップをねらえ!』のようなスーパーロボット的です。「対話」という大真面目なテーマとの激しいギャップには、戸惑わざるを得ないでしょう。

 が、実は「大真面目かふざけているのか分からない」もTVシリーズの延長上にあります。そもそも主人公の刹那が「俺がガンダムだ!」と宣言したり、ライバルのグラハム・エーカーが「抱きしめたいな! ガンダム!」と愛を語ったり、その後に「ミスターブシドー」となってハラキリしようとしたり、感動とギャグのあいだでギリギリを攻めていたのですから。

 刹那の新たな愛機「ダブルオークアンタ」は「対話」のための機体であり、超大型ELSの中枢に飛び込んで、ついに相互理解へと至ります。すべてのELSはひとつとなり、人類との友好のあかしとして一輪の巨大な花になりました。

 そこで完結かと思いきや、話は50年後、人類がELSと共存しながら外宇宙に進出した時代へと飛びます。金属生命体と合体した刹那が、年老いたヒロイン「マリナ」のもとへ会いに行く……というラストは、TVシリーズで「武力による平和」と「武力によらない平和」ですれ違い続けたふたりがようやく分かりあえる、真のエンディングです。

 そのはずですが、客観的には「メタル刹那」(金属的な足音付き)の破壊力が強烈であり、感動よりも吹き出した人が多かったのではないでしょうか。劇場版『00』は、水島監督が本来やりたかったこととTVシリーズのテーマから必然の作品ではありますが、視聴者がどういう顔をしたらいいのか分からないのも当然だったのです。

(多根清史)

【画像】「もうなんでもいいや」こちらが性別という概念を破壊したガンダムマイスターです(8枚)

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