【シャーマンキング30周年への情熱(2)】多様なシリーズ作を整理して見えてくる、壮大な物語
代理戦争「フラワー・オブ・メイズ」

4作品はいずれも『マンキン』の未来の話なので、今代のシャーマンキングがすでに存在しているのですが、ちょっとした問題を抱えています。
その問題とは、先代以前のシャーマンキングが今代の存在に異議を唱えられるというルールが発動したことです。こうなると、歴代キングたちは自ら指名したシャーマンたちによる代理戦争「フラワー・オブ・メイズ」によって解決を図るのですが、なかでも確執の大きい先代シャーマンキングとの間には、本戦が始まる前から油断のならない駆け引きがすでに始まっているのです。
『FLOWERS』以後に制作された(『マルコス』を除いた)3作品は、この壮大な対立をベースに敷いています。同じ問題・危機的状況があった上で、『FLOWERS』『SUPER STAR』では主人公・花が人間としてもシャーマンとしても成長する物語を描き、『レッドクリムゾン』は次世代の道家が目指すものを描いています。恐らく『マルコス』もそれを踏襲するのではないでしょうか。
これらの物語をしっかり描いていくとなると、いち連載の中に入れ込んで終わらせることは難しいと言えます。言い方を変えると、武井氏はそれだけの描写が必要な壮大なテーマに挑んでいるということになるでしょう。
これらの作品が順番に提供されるのではなく、ほぼ同時に横並びの構造で存在しているのはなぜでしょうか? その理由について、次回の記事で掘り下げたいと思います。
ところで、本連載のタイトルに「30周年」とあるが、「20周年」では? というご指摘をチラホラと受けています。これは、「30周年に向けて頑張る!」という意気込みを表現したものなのですが、気が早すぎたでしょうか(笑)
しかし、現時点ですでに22周年。あっという間だと思います。これから皆さんと一緒に、「30周年」を目指していければと思っています。
(タシロハヤト)