『ママとあそぼう!ピンポンパン』の思い出 画面の中の姉が不思議だった幼少期
大ヒット曲だった『ピンポンパン体操』

さて、『ピンポンパン』と聞いて思い出すのが、番組中に流れる歌の数々です。なかでも1971年に番組内でお遊戯の曲として使われた『ピンポンパン体操』は作詞が阿久悠、作曲が小林亜星と一流のヒットメーカーが名を連ねており、260万枚のレコードを売り上げるほどの大ヒット作品となりました。その後『ピンポンパン体操』はさまざまなバージョンが作られ続けており、見ていた時期によって、印象に残っている曲が微妙に違っているようです。筆者の脳には1978年の『ピンポンパン体操 ミクロの探検隊』が一番強く刻み込まれています。
番組中に出演していたお兄さんやお姉さんたちも、印象深い方々がそろっています。番組の最後に「おもちゃへ行こう!」と掛け声をあげていた新兵ちゃんこと坂本新兵氏はなんと初回から最終回まで全話に出演しています。坂本氏は残念ながら1996年に61歳で他界しています。
歌のお姉さんは代々フジテレビの若手女性アナウンサーが担当しており、初代が渡辺直子さん、2代目が石毛恭子さん、3代目は酒井ゆきえさん、4代目が大野かおりさん、5代目が井上佳子さんでした。筆者が見ていた時代は、ちょうど酒井ゆきえさんに当たるようです。酒井さんは1975年から1979年まで歌のお姉さんを務め、歴代のお姉さんのなかでも一番人気があったと言われています。『ピンポンパン』卒業後はフジテレビとの契約を終了し、フリーへと転身。2020年現在は一般社団法人日本国際文化協会の理事を務めています。
『ひらけ!ポンキッキ』と共にフジテレビの朝の顔として長く親しまれた『ピンポンパン』ですが、1980年ごろから徐々に人気が低下、番組の顔として親しまれていた河童のカータンを降板させるなどリニューアルを図りますが人気の回復には至らず、1982年にフィナーレを迎えてしまいました。
それでも『ピンポンパン』を子供の頃に見ていた方々からの人気は根強いものがあり、2013年には『ママとあそぼう!ピンポンパン DVD-BOX』が発売されています。2019年には「ビッグ・マンモス」や歴代のお姉さんごとに使用された楽曲をまとめた「ママとあそぼう!ピンポンパン SONG COLLECTION」シリーズも発売されました(渡辺直子さんの時代は未収録)。
当時の楽曲を聞いていると、もう忘れていたはずの思い出が、次々とあふれてきます。1日のうちのほんの数分、過去を懐かしむ時間を持つことが、日々の生活の癒しになるかもしれません。
(早川清一朗)