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巨匠たちが少女漫画から飛び出した!『薔薇はシュラバで生まれる』が描く仕事場の青春

少女漫画革新の時代を支えた漫画家たちへの愛

樹村みのり先生による『カッコーの娘たち』(講談社)
樹村みのり先生による『カッコーの娘たち』(講談社)

 少女漫画家への愛と尊敬があふれている! 同作品は、著者の笹生先生のチャーミングなお人柄がにじみ出ている点も大きな魅力です。まず、登場する先生方の風貌が、笹生先生の手によって、それぞれのマンガの画風そっくりに寄せて描かれています。ああ、先生方はマンガから飛び出してきたんだと、読んでいて嬉しくなります。

 また、笹生先生が高校生で初めて美内先生のもとでアシスタントをした際に、任されたページにて大失態を犯してしまった……というエピソードがあります。

 それは、主人公が恐怖を感じたときに出る顔の縦線(ちびまる子ちゃんの顔のガーン線のようなもの)をフリーハンドで描いたら、ガタガタの線のまま掲載されてしまったというもの。

 笹生先生は、しばらくしてからこのことについて美内先生に謝りに行くのですが、これは何のマンガでどのページのことなのかが、笹生先生の見事な再現力によって全てわかってしまいます。

 笹尾先生は後書きにて、全員の先生にプロット段階で連絡を取り、承諾を得てからネームを開始し、企画から2年9か月かけて完成したと記しています。この凝り方は尋常ではありません! お話は全てノンフィクション。

 エピソードの臨場感、そしてそこに表れているのは、出会ったひとりひとりに対する笹生先生の愛とリスペクト。歴史の証人による、受け継がれる資料になることでしょう!

 ちなみに最後には、現在の笹生先生と当時一緒にアシスタントをされていた方々の会話も出てくるのですが、そこには今の時代の、デジタルでアシスタントをしている現場に対する驚きの声も。

 私も現在、東村アキコ先生のもとでアシスタントをさせていただいていますが、全て作業はiPad。時代時代にあった少女マンガを作る光景の数々。表には出てこないこのエネルギー! 皆さまもぜひ体感してみてください!

(別冊なかむらりょうこ)

【画像】笹生先生が創作を支えた、少女マンガのレジェンドたち(4枚)

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