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「テレビが壊れるから駄目!」←親がファミコンを禁止…“うわさ話”の真相は?

ファミコンブームが巻き起こった頃、「ファミコンにつなぐとTVが壊れる」といったウワサが流れました。果たしてこのウワサは真実だったのか。どのような影響をTVに与えたのか。当時の背景を通して、その実態に迫ります。

親たちが懸念した「ファミコンがTVを壊す可能性」

「ファミコンがTVを壊す」というウワサの真偽はいかに
「ファミコンがTVを壊す」というウワサの真偽はいかに

 日本のTVゲーム文化を大きく促進させ、一大ブームを起こしたのが、1983年に発売されたゲーム機「ファミリーコンピュータ」です。実は当時から、「ファミコンにつなぐとテレビが壊れる」といったネガティブなウワサ話がありました。実際に壊れたという声もあれば、特に不調はなかったケースもあり、人によって反応はさまざまでした。果たしてウワサはどんな内容で、真相はどうだったのでしょうか。

●当時は「TVが壊れる」と影響が深刻だった

 現在は、TVではなくPC向けのモニターにゲーム機をつなぐ人も少なくありません。しかし当時は、PCモニターこそあったものの、ファミコンのような機器との接続は想定されておらず、ファミコンはTVとつなぐのが一般的な遊び方でした。

 また、TVは「一家に一台」の時代で、リビングに置いて家族でそろって眺めるもの。そのためTVに万が一のことがあれば、親や兄弟がTV番組を見られなくなり、広範囲に影響を及ぼします。

 そうした時代のなか、「ファミコンをつなぐとTVが壊れる」というウワサが聞こえてくれば、親としては気になるのは当然でしょう。このウワサは、一部の親たちにとって小さからぬ懸念事項でした。

●「ファミコンをつなぐとTVが壊れる」は本当? それともデマ?

 不安や警戒も手伝ってこのウワサは後押しを受けましたが、実際にファミコンをつなぐとTVは壊れるのでしょうか。その答えは、ウワサの受け取り方にもよりますが、少なくともTVの本体であるブラウン管(当時)にことさら悪影響を与えることはありません。

 もちろん長時間ファミコンをつないで遊んでいれば、TVにまったく影響を与えないとは言い切れませんが、それは長時間TV番組を見ていても同じこと。ファミコンがTVの内部に過負荷をかけるような直接的な影響はなく、その意味では「TVが壊れる」というウワサは真実ではありません。

 ただし、TVという製品自体に「まったく影響を及ぼさなかった」とも断言できません。ファミコンは「RFスイッチ」と呼ばれる機器を通して、TVに出力信号を送っていました。「RFスイッチ」を現代風に例えると、Nintendo SwitchとTVをつなぐ「HDMIケーブル」と考えてもらえれば想像しやすいかと思います(機構的には異なりますが)。

 当時のTVも外部入力用の端子を備えていましたが、端子部分の頻繁な抜き差しは想定しておらず、差し込みや取り外しを繰り返すことで端子部分が損耗し、接続しづらくなったり故障するケースがありました。この「RFスイッチ」の抜き差しも、同じ影響を及ぼします。

 つまり、ファミコンそのものが原因でTVが壊れることはなかったものの、「RFスイッチ」とTV側の端子を接続したり外したりを繰り返すと、端子部分が壊れることはあり得ます。もちろんこれは端子の抜き差しが原因のため、ファミコンに限らず他の外部機器でも同様です。

【画像】えっ、テレビ壊れた? こちらが“都市伝説”の元凶となったファミコンの「RFスイッチ」です(5枚)

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