【ネタバレ注意】『ジークアクス』の宇宙は本当に平穏なのか? 考えうる「火種」とは
『ジークアクス』の舞台は、主人公である女子高生の目を通して見る限り、おおむね平穏な世界に見えます。とはいえそこに新たな火種はくすぶっていないのでしょうか。今後の展開などを考察していきます。
「マチュ」たちの「世界」はわりと平穏そうだけど…?

宇宙世紀の「ガンダム」ユニバースは戦争の歴史です。腐敗した地球連邦政府に自浄作用は見られず、搾取と反乱、強権発動が繰り返され報復の連鎖がどこまでも続きます。
劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -beginning-』には、主人公である女子高生、「マチュ」こと「アマテ・ユズリハ」の目から眺める限りにおいて、社会不安はあるものの、そこそこ平和な世界が描かれていました。
※この記事は劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -beginning-』のネタバレを含みます。
●あの世界、実は先行事例アリ?
その『ジークアクス』の世界、すなわち戦争が「あのように」決着した後の世界を描くコンテンツは、本作が初めてではありません。たとえば戦略シミュレーションゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズに描かれました。
同シリーズでは、ジオン公国が地球連邦に勝利しても宇宙は平和になりません。展開によってジオン公国は分裂し、そしてエゥーゴやアクシズ、ティターンズなどが台頭して戦いは続きます。
●ジークアクスの場合
一方、劇場先行版『ジークアクス』は、これまでのif展開を過去のものにするほどのインパクトがありました。加えて「シャロンの薔薇」や「ゼクノバ」といった新たな要素が追加されています。
マチュのコロニーでの暮らしぶりを見る限り、スペースノイドはコロニーごとに自治を行い、それなりに平和な暮らしをしているようです。ジオン軍人がコロニー政府を尊重している様子から、ジオン公国は残ったコロニーを強権的に支配していないと推測できます。
どのような条件で終戦に至ったのかは不明ですが、『ジークアクス』の世界は多くのスペースノイドにとって、だいぶマシな状況になったようです。
しかしその裏では、戦争によって被害をうけたコロニーから逃れてきた難民がいます。その数はコロニーの一角に違法建築のスラム街を形成するほどで、あきらかに社会問題化しています。主要キャラのひとり「ニャアン」は、闇バイトに手を出す女子高生難民といったところでしょう。
また「クランバトル」という闇興行は、戦後に行き場を失った軍人が糊口をしのぐために始めた可能性があります。スペースノイドが等しく地球連邦に搾取されていた世界線と異なり、この世界ではスペースノイド間での格差という新たな問題が生じているようです。
●問題はザビ家の権力闘争
大きく歴史が変更された『ジークアクス』の世界では、ジオン公国を指導したザビ家についても、戦前にテロで謀殺されている「サスロ」を例外として、その運命は大きく変わりました。
「ガルマ」は軍を去り、「デギン」公王は停戦交渉など考えません。したがって「ギレン」は父殺しをしておらず、「キシリア」に撃たれずにすみました。「シャア・アズナブル」が行方不明になったことでキシリアも生存しています。
唯一、生存が危ぶまれるのが宇宙要塞「ソロモン」を守っていた「ドズル」です。劇中のソロモンの扱いを考えると、彼はひとり娘の「ミネバ」を脱出させた後、要塞を枕に戦死している可能性があります。
つまり現在のジオン軍はデギン公王のもと、親衛隊を擁するギレンと、マ・クベやニュータイプ部隊を擁するキシリアとに二分され、水面下で派閥争いの起きている可能性があります。デギン公王が死んでしまえばふたりの確執は表面化し、『ギレンの野望』のようにジオンが分裂、戦争状態に陥るかもしれません。
以上、ざっと考えてみましたがまだまだ情報不足です。早く放送で先行上映の続きを観たいですね。
(レトロ@長谷部 耕平)