シリーズの異色作『黄金勇者ゴルドラン』伝説カオス回×2を語り継ごう 放送30周年
『ゴルドラン』を代表する2つのカオス回

そのひとつが、第33話「誕生子連れ勇者」でした。ここで主役ロボである黄金剣士「ドラン」は、こともあろうか惑星「ロボラルド」の女性型ロボット「マリア」とのあいだに4人の子供をもうけることになります。
この前代未聞の展開は当然のように視聴者を唖然とさせ、子供向け作品にあるまじき展開だと語り継がれることとなりました。もっとも、こうした「スタッフの悪ノリ」が本作の見どころだったといえるでしょう。
ちなみにマリア役は、人気声優である川村万梨阿さんでした。登場時は可憐なイメージがありましたが、子供をもうけて以降はドランを尻に敷くような態度に豹変、それを川村さんは抜群の演技力で表現しています。
もうひとつ、スタッフの悪ノリが爆発したといわれているのが、第37話「さらば黄金勇者-レジェンドラよ、永遠に-」でした。こちらに登場した「ソドラ王」こと「ホラフキーノ・ニマイジータ」を演じたのは、ベテラン声優である玄田哲章さんです。
このエピソードでは目的地であるレジェンドラに到着して冒険も終わるという展開から始まりました。しかし、それはソドラ王が仕掛けた罠で、勇者たちを宝石に戻して自分たちが代わりに冒険をしようとたくらんでいたのです。
前半は比較的、3人組と勇者たちの別れが情緒的に描かれていましたが、ソドラ王の正体がわかってからの後半は怒涛の超展開となりました。ゴルドランのバッタもんであるソドラ合体「ゴルソドラン」が立ちはだかるほか、勇者ロボのバッタもんが次々と登場します。このバッタもんたちは、みんなソドラ王と同じくハニワの顔をしているのが特徴です。
しかも本物に対して「22%パワーアップ(当社比)」しており、真正面からの戦いでは勇者たちが押される始末でした。ソドラ王はオープニングのセルフパロディ映像まで流すというやりたい放題です。
このふたつのエピソードは、本作の代表的なカオス回としても有名といえるでしょう。
これらの事例からも、スタッフの暴走がよくわかると思います。もちろんこのほかにも、3人組の罠にかかってワルターが裸にひん剥かれてTVで映像を流されたり、シャランラの行動がストーカー気味だったり、レジェンドラ王のデザインが「ああ」だったりと、注目ポイントは多くありました。
当時から放送ギリギリの作品と評する声は聞こえます。ただ、本作の監督である高松信司さんが、後にTVアニメ『銀魂』の監督をしたことを踏まえると、納得するという人も多いことでしょう。
もっとも勇者シリーズファンのなかには、本作を、そういった暴走から好きになれない人も少なくないようです。逆に高評価の人もいるわけで、人によって好き嫌いが分かれる作品だといえるかもしれません。筆者的にはシリーズのなかでも好きな部類に入る作品です。
(加々美利治)




