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「意外と覚えていない」『人造人間キカイダー』の最終回 「こんな終わり方だっけ…」

TV版と原作マンガ版で違う?

『人造人間キカイダー』Blu-ray第1巻(東映)
『人造人間キカイダー』Blu-ray第1巻(東映)

 場面は変わり、白骨ムササビに追い詰められたジローは崖から転落し、意識混濁するなか、愛車のサイドマシンを呼び寄せて、服部半平の協力を得て基地外へ脱出を図った光明寺親子と、どうにか合流します。ジローはその場で光明寺博士によって修理を受けるも、再びダークの追手が迫り、光明寺親子は気を失ったジローを草むらに隠した後、ついに捕縛されてしまいます。

 3人は、はりつけにされ、プロフェッサーギルの命であわや処刑となるところへ、哀愁漂うギターの音が周囲に響き渡ります、アンドロイドマンたちが「どこだ!?」「どこだ!?」とあわてふためくなか、颯爽と姿を現したのはジロー。この流れは本作での鉄板シーンです。続いてエンディングテーマ「戦え!!人造人間キカイダー」をバックに果敢に戦うジローの姿が描かれ、その最中、散々ジローを苦しめて来たプロフェッサーギルが手にする「ギルの笛」が破壊されるのも見逃せない場面です。

 ジローは光明寺親子を救出し、再び白骨ムササビと対峙して、「チェンジ!スイッチオン!ワンン!ツー!スリー!」とお馴染みのコールと共にキカイダーに変身します。前話では鉄板の登場シーンはおろか、キカイダーとして戦う場面すらなかったので、その高揚感は格別なものがあります。まさにヒーローものとして王道の展開です。かくして死闘の末、必殺技「デンジエンド」で白骨ムササビを粉砕したキカイダーは、矢継ぎ早にギルを追い詰めますが、ギルは基地ごと自爆。脱出したジローと光明寺博士はダークの崩壊をこの目に焼き付けます。

 エピローグは、光明寺殺害の疑いをかけられていたジローは疑いが晴れ、光明寺親子はスイスへ移住することとなります。光明寺はジローに対して良心回路が不完全なままであることを唯一の心残りだと気にかけるも、ジローは「僕はこのままがいいんです。欠点の多い人造人間のままで。完全な機械にはなりたくありません」と答え、不完全な良心回路に負けない精神力を身に付けるための修行に出ることを伝えます。

 このあたりはマンガ版では描かれていないTVオリジナルの掘り下げです。後半でメインライターを務めた脚本家・長坂秀佳氏の手腕でしょう。

 そして、それまでほのかに心を通わせていたミツ子には何も告げず、ジローはスイスへと旅立つ光明寺親子を乗せた飛行機をただひとり見送ります。その飛行機に「ジロー」と繰り返し叫ぶミツ子の姿がオーバーラップし、別離の感傷と余韻を残して物語は幕を閉じました。

 なお、マンガ版ではダーク基地の爆破で完結しており、ジローと光明寺親子は続編となる『キカイダー01』にも引き続き登場。ミツ子は術後の容態が思わしくない博士の静養で欧州へ旅立つこととなり、ジローとの別離が描かれました。

(田中一)

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