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ウルトラ兄弟入りできず…『ウルトラセブン』最終回に出た「セブン上司」って何者?

ウルトラマンシリーズには数多くのヒーローが登場し、現在も活躍を続けています。しかし、そのなかには登場したにもかかわらず、ほとんど忘れ去られてしまったキャラクターも。『ウルトラセブン』最終回に登場した「幻の上司」の不運な運命に迫ります。

不運な道を辿(たど)ってしまったウルトラ戦士

「ウルトラ特撮 PERFECT MOOK vol.01 ウルトラセブン」(講談社)
「ウルトラ特撮 PERFECT MOOK vol.01 ウルトラセブン」(講談社)

『ウルトラマン』の最終回「さらばウルトラマン」で初登場を飾ったゾフィー。最終回一度限りの登場でしたが、後に「ウルトラ兄弟」の設定が考案され、その「長兄」に位置付けられるや、一気に存在感を増して子供たちのなかでも人気のウルトラ戦士に数えられるようになりました。

 一方で、ゾフィーと同じように一度だけ登場したゲスト扱いのウルトラマンで、その後、ほとんど忘れ去られてしまったキャラクターが存在します。それが『ウルトラセブン』に登場したセブン上司です。なぜ、彼は不運な道を辿(たど)ってしまったのでしょうか。

●セブン上司が果たした役割とは?

 セブン上司が登場したのは『セブン』の最終2話「史上最大の侵略」前後編です。短い出番ならも2話にわたって登場したので、原典では、ゾフィーよりも大きい扱いであったといえます。

 その役目は、過去の侵略者との戦いで大きなダメージを負ったウルトラセブンをM78星雲に帰還させることであり、そういう意味では、『ウルトラマン』におけるゾフィーとほぼ同様の役目を担っていたといっていいでしょう。

 第48話では、「いまは自分のことを考えるべきだ。地球にとどまることは死を意味するんだ」とダンの体調を気遣い、ダンに拒まれると、「ひとつだけ忠告する。変身してはいかん。戦ってこれ以上、エネルギーを消耗してはならん。M78星雲に帰ることができなくなってしまうぞ」と言い、セブンをおもんぱかる様子が伝わる描写となっていました。

 続く第49話(最終回)では、ダンが最後の戦いを決意し、ウルトラセブンに変身をしようと、ウルトラアイを手にした際には、「やめろ、やめるんだ!セブン!今度こそ本当に死んでしまうぞ!!」と強い口調で再び忠告しました。

 ここで注目すべきはわざわざセブンと呼んでいる点です。ウルトラセブンは地球人によって付けられた名称であり、本来の名称(恐らく任務時の呼称)は、恒点観測員340号になります。第48話では「340号、いや、地球での名に従ってウルラセブンと呼ぼう」とのやりとりがあり、自らの忠告に耳に傾けるよう、わざわざ「セブン」と言ったものと思われ、彼の律儀な性格が浮かび上がります。

  劇中では、あたかも幻かのように唐突に表れるため、実在するのか否かも意見が分かれるところですが、金城哲夫さんが執筆したシナリオには「それはダンのテレパシーが呼んだイメージである」と記載されていました。どうやら実体として地球に現れたわけではないようですが、短い出番ながらも印象的なキャラクターだったことには間違いありません。しかしながら、ゾフィーのように後にウルトラ兄弟にカウントされることはありませんでした。

【画像】超カッコいい! 『ウルトラセブン』マンガ版で“ノコギリ状のアイスラッガー”を持つセブン上司を見る(4枚)

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