「SAO、リゼロ、転スラって一緒だろ?」←いやいや… 未視聴派の勘違いに物申す
「異世界もの」はいずれも絶大な人気を誇りますが、アニメになじみのない人からすると、「違いが分からない」ようです。そこで「異世界もの」の代表的な3作品『SAO』『リゼロ』『転スラ』の違いを並べてみました。
「異世界もの」を一括りにしないで!

近年、日本のみならず世界のアニメ・マンガ市場を盛り上げているのが「異世界もの」と呼ばれる作品です。代表作といえる有名どころを挙げるならば、『ソードアート・オンライン』(以下『SAO』)『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下『リゼロ』)『転生したらスライムだった件』(以下『転スラ』)ではないでしょうか?
同じ「異世界もの」でも、それぞれ違った面白さを持つ3作品ですが、アニメを見ていない人からすると「違いが分からない」「どれも一緒に見える」ようです。しかし、『SAO』は大迫力のバトルシーンが魅力、『リゼロ』は人が死にまくる鬱アニメ、『転スラ』は主人公の急成長っぷりが見どころと、作品のテイストからまったく違います。
まず、『SAO』は、現実世界のように五感のすべてを感じながらの生活や冒険ができる仮想世界が舞台の作品です。世界初のVRMMORPG「ソードアート・オンライン」の世界に囚われてしまった主人公の「キリト」は、その世界からログアウトするため、同じく囚われた1万人のプレイヤーたちとゲームクリアを目指していきます。
幼少期からゲームに触れ、それらに関する知識や能力に長けていたキリトは、「SAO」内でその実力を存分に発揮し、無双します。特に映画版では、戦闘シーンの迫力が「圧巻」のひと言で、スピード感と爽快感あふれるものとなっています。
またキリトは、とにかく女性にモテます。メインヒロインの「アスナ」だけでなく、他の主要女性キャラほぼ全員から好意を寄せられていました。それは強いだけでなく、人を気遣える優しさが影響しているようです。コミュ障という欠点はあれど、情に厚く、仲間を絶対に見捨てず、弱い部分を受け入れ寄り添ってくれるキリトの優しさに、女性キャラは惹かれます。
続いて、圧倒的な強さを持ったキリトとは真逆で、「死に戻り」というかわいそうな能力しか持ち合わせなかった哀れな主人公は『リゼロ』の「スバル」です。コンビニ帰りに突如、異世界へと召喚されたスバルは、召喚早々に命の危機に見舞われます。その窮地を救ってくれた「エミリア」にひと目惚れし、スバルは彼女の「探しもの」に協力することに。やがてその目的は、自らの死と引き換えに、彼女の野望を叶えることへとつながっていきます。
元不登校児で自分に甘く、感情的な性格や自己中心的な態度、そして周囲への配慮に欠ける言動の数々で、スバルは視聴者から「クズ」と評価されています。しかし、エミリアや仲間のために死の恐怖と向き合い、ピンチを乗り越えようとする思いやりも持っており、その複雑な心理描写や「死」という残酷な描写、緻密に練られたストーリーが魅力の作品です。
そして、シリアスなシーンが多い上記2作品に対して、比較的ゆったりのんびりしたストーリーが繰り広げられるのが『転スラ』です。通り魔に刺されて死んだサラリーマンが、異世界でスライムとして転生するところからスタートします。「リムル」の名を得た主人公は、その異世界で友達や仲間、配下を増やし、魔物の町を作り始めます。やがてそれが国作り、そして世界へと発展していきます。
そもそも人間にすら転生できなかったリムルですが、性格は温厚で誠実、面倒見がよく、このなかで言えば1番の人格者です。その世界において最弱のスライムに転生してしまったにもかかわらず、前世でゼネコンに勤務していた記憶と経験を活かし、魔物たちを受け入れ従え、村や国を作っていく過程が楽しめます。
このように、3作品はテイストも、主人公のキャラ設定も、目的も、そもそも転生/召喚/転移と「異世界もの」のなかでいうとジャンルさえ違うのです。まず1話を見てもらえれば、その違いも、面白さも分かってもらえるでしょう。人気で長いシリーズだからこそ、今見ておいてほしい作品です。
(米田果織)