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「高度成長期の自立した女性」 『ウルトラマン』フジ隊員の“時代を先取りした描写”

マグミクスが配信した初代『ウルトラマン』のフジ・アキコ隊員の「その後」を紹介する記事に多くの反響が集まっています。特に注目されたのは、フジ隊員が特撮ヒーロー番組における女性キャラクターの描かれ方を変革した「先駆者」としての評価でした。

フジ隊員が果たした役割

フジ・アキコ隊員演じる桜井浩子さんが表紙に描かれた「ヒロコ ウルトラの女神誕生物語」(小学館)
フジ・アキコ隊員演じる桜井浩子さんが表紙に描かれた「ヒロコ ウルトラの女神誕生物語」(小学館)

 マグミクスが配信した「初代『ウルトラマン』のフジ・アキコ隊員はハヤタと結婚した? 後発作品で描かれた『その後』」という記事に、多くの反響が寄せられました。特に注目されたのは、フジ隊員というキャラクターがTV番組史上において持つ特別な意義についてでした。

 元となる記事では、科学特捜隊唯一の女性隊員であるフジ・アキコが、その後の作品でどのように描かれてきたかを紹介しました。『大決戦!超ウルトラ8兄弟』ではハヤタ隊員と結婚し自転車屋を営む姿が、一方でマンガ『ULTRAMAN』では科学研究所の主任として描かれるなど、「その後」の姿が複数の並行世界で異なる形で展開されていることが示されています。

 この記事に対し、読者からはフジ隊員のキャラクター像に対して「当時としてはエポックメイキングな存在」という評価が多く寄せられました。あるファンは「それまでの少年向けヒーロー番組における女性の立ち位置としては、多くが添え物扱いでしたが、フジ隊員から男性隊員に混じって一緒に戦う役というものが定番になった」と指摘。少年向け番組で女性がここまで重要な役割を担うのは当時としては画期的だったとしています。

 また、別の読者からは「フジ隊員の立ち位置は恋愛などは微塵もなく、けっこうクールに職務に従事する女性像として描かれていて、高度成長期において女性が自立していく未来像が投影されている」という視点も示されました。これはハヤタ隊員との恋愛関係が本編では描かれなかったことに触れながらも、それがむしろ時代を先取りした女性像だったという解釈です。

 さらに興味深いのは、「『ウルトラマン』では、ウルトラマンが人間を超越した存在だったこともあって、男性主人公であるハヤタの私人としての人格が一切描かれなかった」という指摘です。このコメントは、ウルトラマンの設定的特徴が、フジ隊員の恋愛描写の欠如につながっているという分析を提示しています。

 フジ隊員が後の『ウルトラセブン』の「友里アンヌ」隊員へとつながり、さらにはその後の「変身ヒロイン作品」の先駆けになったという評価は、このキャラクターが単なる脇役ではなく、日本の特撮・アニメ史において大きな意義を持つことを示しています。

(マグミクス編集部)

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