唐突な最終回で『すごいよ!!マサルさん」作者が失踪? 噂の真偽はどうだったのか
『すごいよ!!マサルさん』の作者、うすた京介先生が「失踪」したという噂を聞いたことはないでしょうか? その真相について作者本人がコメントしています。「大変だったのだろう」という想像を超えた状況が明らかに……?
突然「第2部」が始まり、たった1話で最終回に?

先日2025年5月8日に、マンガ『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』(著:うすた京介)の連載30周年を記念した展覧会の開催が発表されました。2025年8月9日(土)から東京・池袋サンシャインシティで開催予定で、同作者による『ピューと吹く!ジャガー』(こちらは連載25周年)とあわせて、歴代作品のキャラクターや名場面を振り返る内容です。
『すごいよ!!マサルさん』の主人公「マサルさん」をはじめ、「セクシーコマンドー部」のメンバーたちの活躍と暴走ぶりは、多くの人の心に刺さったままでしょう。ただ、作品の知名度に対して、連載期間は1995年から1997年まで、単行本も全7巻と、比較的短めの作品と言えるかもしれません。
『マサルさん』の最終回も非常に独特なものでした。何の前触れもなく「第2部・地獄校長編」なるものが開幕したかと思えば、たった1話で終了し、そのまま最終回を迎えたのです。
何とも『マサルさん』らしい完結ではありましたが、唐突だったこともまた事実です。人気の絶頂期であり、TVアニメの放送も控えていた矢先だったこともあり、さまざまな憶測を呼びました。
筆者が実際に耳にしたものでいえば、作者のうすた京介先生が、最終回の原稿を完成させたのちに「失踪」してしまった……なんてものもありました(とはいえ、筆者がこの噂を耳にした当時、うすた先生は「ジャンプ」で『ピューと吹く!ジャガー』を連載中でしたが)。
『マサルさん』の連載終了時のうすた先生は、まだ23歳という若者でした。相当なプレッシャーのなかでの執筆であったことは、想像に難くありません。
さて、唐突な連載終了における「失踪」を含めた噂に関しては、うすた先生本人が『マサルさん』の「ウ元ハ王版」、つまりは完全版コミックスの「あとがき」にて、当時を振り返ったコメントを寄せています。その内容は想像以上に過酷なもので、何も知らぬまま気楽に読んでいた自分が恥ずかしくなるほどでした。
「失踪」の噂は…… 本人が語った「最終回」の真実
「正直、5週目あたりから(もうダメだ…)と思い始めました。」という状況のなか、「後半は絵も荒れていき、原稿を落としたり、何度か逃げかけたりしながら、1年と8ヶ月くらいの連載は終了しました。」とあります。「失踪」の噂は当たらずとも遠からずで、実際にうすた先生は追い詰められていたのでした。
先生は、「ここで(連載を)やめないと2度と立ち直れなくなる」と感じ、自ら『マサルさん』の幕を閉じる決断を下します。人気絶頂だったとはいえ、新人作家である以上は、相当な覚悟が必要だったことでしょう。
さて『マサルさん』終了以降の、うすた先生の活躍はすでに歴史が証明するところです。前出の『ピューと吹く!ジャガー』は10年もの長期連載となりましたし、現在では最新作『あらばけ!荒吐グングンパーク』が「少年ジャンプ+」にて連載中です。
『マサルさん』終了の決断がなければ、私たちはこれらの「うすた作品」に出会えなかった……ということになるでしょう。当時の若かりし先生の決断に、改めて感謝と敬意を表したいと思います。
(片野)