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アイスラッガーおかしいの気づいてた?『ウルトラセブン』OPに隠された違和感ある部分

『ウルトラセブン』オープニングには、「言われてみれば」おかしいポイントが隠されています。ファンなら気付いている謎ポイントを紹介します。

言われてみれば、確かにおかしい

書籍『ダンとアンヌとウルトラセブン~森次晃嗣・ひし美ゆり子 2人が語る見どころガイド~』(小学館)
書籍『ダンとアンヌとウルトラセブン~森次晃嗣・ひし美ゆり子 2人が語る見どころガイド~』(小学館)

「♪セブン セブン セブン セブン セブンセブンセブン」……この文字列を見るだけで、あの勇壮なメロディーが浮かんできます。『ウルトラセブン』のオープンングは、あのド派手な色彩の映像と合わせ、いまなお視聴者の心を高揚させてくれます。

 この『ウルトラセブン』の主題歌『ウルトラセブンの歌』は作曲が冬木透さん、作詞が東京一(円谷プロダクションの2代目社長、円谷一さんの別名義)によるものでした。さて、誰もが一度は観たことのある『ウルトラセブン』のオープニングには、さりげなくふたつの謎が隠されています。言われてみれば気になってしまう、謎を振り返りましょう。

 ひとつ目は、恐らく放送当時から指摘はあったであろう「歌詞」の謎です。この『ウルトラセブンの歌』の2番に「倒せ!火をはく大怪獣」という箇所がありますが、前作『ウルトラマン』ならまだしも、侵略宇宙人がメインの敵である『ウルトラセブン』においては、怪獣自体が数えるほどしかいません。

 そのなかで「火をはく」怪獣となると……これがてんで登場しないのです。たとえば第3話「湖のひみつ」に登場した「エレキング」は火ではなく、放電光線を放ちます。第7話「宇宙囚人303」において、キュラソ星人という火を放つ宇宙人は登場しましたが、怪獣ではありません。

 結局、火をはく怪獣は登場しないまま物語は最終局面を迎えました。そして、ラストの48、49話の「史上最大の侵略」前後編で登場する怪獣「パンドン」が、まるで辻褄を合わせるかのように、ようやく「火をはく」のです。1年かけた伏線回収だったのか、それとも偶然か、いずれにせよ主題歌は「嘘」にならずに済みました。

 もうひとつが、オープニング映像における「ウルトラセブンの影絵」の謎です。偶然にも、先ほどと同じ「倒せ!火をはく大怪獣」の歌詞の部分でした。

 このときの背景には、ウルトラセブンの凛々しい横顔の影絵が映し出されます。そのままカメラが引いて、セブンが全力疾走している姿に変わりますが、セブンの後頭部に少し違和感を覚えます。「アイスラッガー」の後ろ、首筋に近い部分が、くるんと綺麗にカーブを描いているのです。

 言われてみれば、劇中のセブンのアイスラッガーとは形が異なっています。実際のセブンのスラッガーは、わずかに弧を描いているだけで、影絵のようには曲がっていません。なお、デザインを担当した成田亨さんのスケッチは、ちょうどアイスラッガーの後部が見えない角度になっています。果たして、この「カーブ」は単なる影絵の誇張表現なのか、はたまた最初はその予定で、セブンのマスクが造られていたのか、現時点では「謎」のままとするのが妥当でしょうか。

 実のところ、このオープニングにはほかにも細かい謎があります。影絵で登場するメカの照合も意外と難しく、またそもそも影絵に宇宙人、怪獣の要素が全くないのも、不思議と言えば不思議です。こういった謎も、いまも『ウルトラセブン』に惹き付けられる魅力的要素といえます。

(片野)

【画像】え…っ? 「アンヌ隊員マジすか」 こちらが『ウルトラセブン』ひし美ゆり子さんの「隊員服を脱いだ私」の姿です

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片野

構成作家。1960年代カルチャーを好む。これまでに「ウルトラ」シリーズをはじめとする特撮番組、「ドラゴンクエスト」「ポケットモンスター」など国民的RPGシリーズ、ギャグマンガのジャンルで記事を多数執筆。