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ウルトラセブンの「セブン」の意味は? ルーツをたどると「原始人コメディ」にぶつかった

『ウルトラセブン』の「セブン」は、6人のウルトラ警備隊にもうひとり幻の隊員がいる、それが「セブン」だと設定されています。しかし、タイトルのルーツをたどると全く別からいただいたものでした。

7人の原始人家族?

書籍『ダンとアンヌとウルトラセブン~森次晃嗣・ひし美ゆり子 2人が語る見どころガイド~』(小学館)
書籍『ダンとアンヌとウルトラセブン~森次晃嗣・ひし美ゆり子 2人が語る見どころガイド~』(小学館)

『ウルトラセブン』の「セブンってなに?」と、思ったことはありませんか。番組が日曜午後7時スタートだったから「セブン」だと、よくうわさされていましたが、それは違うようです。『ウルトラセブン』というタイトルのルーツを、たどってみましょう。

 円谷プロが『ウルトラマン』(1967年4月終了)に続く巨大ヒーロー企画を練っていた同時期、「痛快怪獣シリーズ」と銘打った、別の特撮番組の企画書が作られました。イメージとしては、コメディー特撮ドラマ『快獣ブースカ』の続編的なものだったといいます。実は、このタイトルが『ウルトラ・セブン』だったのです。

 企画の触れ込みには、「オールヌイグルミのドラマ(人間は登場しない)」「地球の創世記に生きた、大いなる祖先たちのおおらかな精神を描き、笑いのうちにいのちを洗濯していただこう」などと書いてあります。要するに、愉快な怪獣コメディーでした。

 では、どんな怪獣が登場する予定だったのでしょうか。企画書によると、「ズキ族」という原始人家族がメインで、族長「タロ」、教育ママの「ハナ」、頭が良い「イッチ」、現在ならボクサーになったであろう「キヨ」、目下恋愛中の「マサ」、けんかっ早く強い「マッチョ」、小さい怪獣を飼育して車を引かせて遊びまわっている「ボン」の7人家族でした。

 この7人から、タイトルを『ウルトラ・セブン』と付けたそうです。これが、みんなが知る『ウルトラセブン』のルーツです。

 ズキ族を中心に他部族との戦いや友好を描き、ときには恐竜や怪獣も出現する……という番組になる予定だったそうで、試作で1体だけきぐるみも作られました。ちなみに、そのきぐるみは、特撮ドラマ『戦え! マイティジャック』第16話で、「宇宙猿パッキー」という名前で使用されています。

 一方、『ウルトラマン』の続編として『レッドマン』あるいは『ウルトラアイ』という仮タイトルで企画が進行していた番組が、放送決定します。その際、改めてタイトルが検討され、企画の進行が停滞していた『ウルトラ・セブン』が浮上しました。

 そして、言葉の響きと語呂がかっこいいことから、『ウルトラマン』の続編は『ウルトラセブン』に決定します。それは、すでにクランクインしていた1967年8月のことだったそうです。

「セブン」とは、「ウルトラ警備隊」の「キリヤマ」「フルハシ」「ソガ」「アマギ」「ダン」「アンヌ」の6人に加えて、「幻の7人目の隊員がいる」の意味だという話が有名ですが、これはタイトル決定後に後付けされた理由なのだそうです。

 ちなみに、タイトルを取られた『ウルトラ・セブン』の企画は、『マンキース』と改題して再度プロモーションされましたが、日の目は見ませんでした。

参考書籍:『ウルトラマン99の謎』(二見書房)、『ウルトラQからシン・ウルトラマンまで』(講談社)

(玉城夏)

【画像】え…っ? 「アンヌ隊員マジすか」 こちらが『ウルトラセブン』ひし美ゆり子さんの「隊員服を脱いだ私」の姿です

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