撮影時にまさかの「泥酔」?『ウルトラセブン』衝撃シーン生まれた原因とは
『セブン』のとあるエピソードには世にも珍しい泥酔した出演者が確認できます。それは一体、誰だったのでしょうか?
変なシーンだと思ったら

『ウルトラセブン』は特撮技術のみならず、普遍的なドラマ性とともに、今もなお愛されている傑作です。その質を支えたのが、若手を中心とした演者陣、そしてスタッフ陣の熱意に他なりません。時に突貫とも思える過密スケジュールのなかで、『セブン』は制作されました。
もちろん、待機時間も長い撮影現場においては、「ガス抜き」も大切です。スタッフ、演者を交えてお酒の席を設けることもしばしばありました。
とはいえ、ある出演者のなかにはちょっと度がすぎて「泥酔」状態で撮影に臨んでしまった……という人もいるようです。しかも、その時の様子はいまもバッチリ、映像で確認できます。まずは、そのエピソードを確認してみましょう。
泥酔した出演者が登場するのは、第41話 「水中からの挑戦」です。河童にそっくりな「テペト星人」と怪獣「テペト」が登場する回でした。その中盤あたりのシーンに注目してみましょう。
河童目撃情報を聞きつけたウルトラ警備隊の「モロボシ・ダン(演:森次晃嗣)」、「フルハシ隊員(演:毒蝮三太夫)」は、湖周辺を調査し終わり、拠点となるテントに戻って他の隊員たちと集合します。テントのなかには、フルハシ隊員のほか「アマギ隊員」(演:古谷敏)と、「アンヌ隊員」(演:ひし美ゆり子)もいました。
このシーンで、ダンは外に何者かの気配を感じ取り、何度もテントを出たり入ったりと、いつもよりもせわしないです。テントに戻ったら、「河童目撃情報」に関する所感を述べ、述べたと思えば間髪入れずに再び外へ、という流れのこのシーンは何か違和感があります。その原因は、「泥酔」していた出演者でした。
違和感の正体、それはダンと一緒に調査に出たはずのフルハシ隊員が、静かすぎることです。ダンと一緒に調査報告をするべきなのに、このシーンのフルハシ隊員は、じっと下を見て立っているだけでした。そう、この時のフルハシ隊員こと、毒蝮三太夫さんは酔いつぶれ、ろくに呂律も回らない状態だったのです。
これで、ダンの忙しなさの理由も分かります。テントのなかでダンが述べた「河童目撃情報」のセリフは、実はフルハシ隊員が言う予定でした。ところが、毒蝮さんがまるでセリフを言えなかったため、急遽ダンのセリフに差し替えられたのです。
いったい、どうしてこのようなことが起きたのでしょうか。実は、このシーンの撮影は夕方以降ということで、ウルトラ警備隊のメンバーは成城学園前駅の近くにあった喫茶スナックで待機していました。ところが3時間待っても連絡が来ず、痺れを切らした毒蝮さんは、監督がその店にキープしていたボトルを開けて飲み始めてしまったのです。
当然、他の出演者は本番前に酒など飲んで大丈夫かと心配します。これに対し、毒蝮さんは「俺のセリフはないから平気」と返しました。毒蝮さんはなぜかこのシーンで、自分にセリフがないと勘違いしており、油断して酒を飲みまくってしまったのです。結果として、毒蝮さんのいう通り、フルハシ隊員のセリフはなくなりました。
……いや、たとえセリフがなかったとしても、やはり本番前にヘベレケになるのは、どうなのか? そんなツッコミも吹き飛ばす、毒蝮さんの豪快エピソードです。
参考書籍:『証言!ウルトラマン』(講談社)
(片野)
