ウルトラセブンの名前が「まんま」すぎた漢字だけの怪獣とは 当時は別名だった理由
見たままの名前でおなじみの『ウルトラセブン』の怪獣といえば、「恐竜戦車」です。この特殊な怪獣の魅力と同時に、劇中で「恐竜タンク」と呼ばれている理由を解説します。
劇中では「恐竜タンク」と呼ばれている理由

傑作『ウルトラセブン』は、主に地球を侵略しにきた宇宙人と、「ウルトラセブン」との戦いを描く作品でした。そのため、怪獣は数えるほどしかいません。その『ウルトラセブン』の怪獣のなかで、名前が「漢字4文字」の者がいたことを覚えているでしょうか。
それは、第28話「700キロを突っ走れ!」に登場した、「恐竜戦車」です。どんなビジュアルの怪獣かといえば、恐竜が戦車に乗っている、これに尽きます。名は体を表すどころか、そのものです。
シリーズ全体からしても希少な漢字名称が与えられた、恐竜戦車の劇中での活躍は、なかなかのものでした。超高性能火薬「スパイナー」の強奪を企む「キル星人」が、最後の手段として送り出したのがこの恐竜戦車です。上部の恐竜部分も、ただの巨大爬虫類ではなく、しっかり対戦用に改造されています。
ウルトラセブンと対峙すると、まず目から破壊光線を発射し、倒れたセブンの腕を戦車部分で思い切り轢くなど、かなりの強敵でした。最後は地面に落ちたスパイナーを、セブンがタイミングよく爆発させて、倒されています。
ちなみに、この恐竜戦車は、劇中では「恐竜タンク」と呼ばれています。これには当時の時代背景が反映されているのかもしれません。というのも、終戦後の1954年に発足された「警察予備隊」において、戦車という呼称は戦争を強く想起させるため避けられ、「特車」という呼称に変更されていました(その後、1962年に「戦車」という呼称が公式に復活します)。
『セブン』の第28話「700キロを突っ走れ!」が放送された1968年4月においても、その風潮は残っており、「タンク」という言葉が使用された、と考えるのが妥当でしょう。時代が流れるにつれ、児童向け「怪獣図鑑」などで徐々に、「恐竜戦車」という名称で記されるようになっています。
ここまで、一度見たら忘れられない怪獣、恐竜戦車について振り返ってきました。しかしながら、実際のところ本当に忘れられているのは、恐竜戦車を送り出したキル星人かもしれません。
(片野)
