『もののけ姫』アシタカは“クズ男”? カヤの小刀をサンに渡す行動に「ヒドイ」vs「深い意味が」と賛否の声
2025年8月29日の「金曜ロードショー」で放送された『もののけ姫』。10月24日からは4KデジタルリマスターIMAX上映も控えるなか、SNS上で再び注目を集めているのが主人公アシタカの「ある行動」です。許嫁のカヤからもらった玉の小刀をサンに渡してしまう展開に、ファンの間で賛否が分かれています。
「カヤがかわいそう」

2025年8月29日の「金曜ロードショー」で『もののけ姫』が放送され、10月24日からは4KデジタルリマスターIMAX上映も控えるなか、SNS上で再び注目を集めているのが主人公アシタカの「ある行動」です。許嫁のカヤからもらった玉の小刀をサンに渡してしまう展開に、「女たらし」「クズ男」との批判が上がる一方で、「深い意味がある」と擁護する声も。ファンの間で賛否が分かれています。
●許嫁からのお守りを他の女性に
物語冒頭でアシタカが村を出る際、「兄さま」と呼ぶ少女カヤが玉の小刀を手渡します。カヤはアシタカの妹ではなく許嫁で、「お守りするよう息を吹き込めました」「いつもいつもカヤは兄さまを思っています」と愛情を込めて託しました。アシタカも「私もだ。いつもカヤを思おう」と応えたのです。
ところが物語中盤、アシタカはこの大切な小刀をシシ神の森で出会ったサンに渡してしまうのです。
●「元カノのものを今カノに」批判派の声
このアシタカの行動に対し、SNS上では批判の声が相次いでいます。「元カノから貰ったものを今カノにあげる」という指摘や、「大事なお守りを他の女にあげちゃうとかアウト」「アシタカはかっこ良いって言われてるけど、カヤがくれたものをそのままサンに渡すのは男として恥知らず」といった手厳しい意見もあります。
また「アシタカの『いつもカヤを思おう』からの『サンにこれを渡してくれ』への華麗な転身は目を見張る」と、その豹変ぶりを皮肉る声もありました。
たしかに許嫁から愛情を込めて渡されたお守りを、出会ったばかりの女性に譲るという行為は、現代の恋愛観からすれば理解しがたい部分があります。カヤの心境を思うとやるせない気持ちになるファンが多いのも頷けます。
●「故郷との決別」擁護派の反論
一方で、アシタカの行動には深い意味があると主張する声も少なくありません。まず指摘されるのが、命を救ってくれたサンへの御礼として小刀しか渡せるものがなかったという現実的な理由です。また、カヤから「お守りするよう息を吹き込めました」と託された小刀を、危険な戦いに身を投じるサンのお守りとして託したという解釈もあります。
また『ジブリの教科書10 もののけ姫』では、小刀をサンに渡した理由を「アシタカが自然との共生を達成できないことと同時に、大切にしてきたものとの決別を象徴した」と説明しています。つまり故郷への未練を断ち切る象徴的な行為だったというのです。
宮崎監督も、アシタカが村を出る時点でマゲを切ることで「もう人間でなくなる」「二度と村には戻らない」覚悟を示していたと語っており、カヤとの関係はすでに過去のものだったという解釈も成り立ちそうです。さらに、カヤとサンの声を石田ゆり子さんが両役担当したことから、制作陣の意図的な演出を指摘する声もあり、アシタカがカヤの面影をサンに重ねていたという考察も支持を集めています。
賛否両論が続くアシタカの小刀問題ですが、10月24日からの4KデジタルリマスターIMAX上映では、より鮮明な映像で細かな表情や演出を確認できるかもしれません。新たな発見が論争に決着をつけるのか、それとも議論がさらに深まるのか。ジブリファンの注目が集まります。
(マグミクス編集部)
