登場から48年、「伝説の特撮番組」が1日限りの地上波放送 熱狂生んだ「時代劇」要素とは?
時代劇の形式美を備えたヒーローが「刺さった」?

『ズバット』放送当時は、時代劇ブームでもありました。そして時代劇はグレートワンパターンともいうべきもので、毎回の展開が予定調和で進むことが定番だったわけです。その点で『ズバット』にも定番の流れがありました。
・腕自慢の用心棒と出会った早川が、相手の得意技で勝負して勝つ。
・悪事が進むなか、危機により早川が姿を消す。
・その後、ズバッカーに乗ったズバットが名乗りとともに現れる。
・最後にズバットが、ボスに「飛鳥を殺したか」と問い詰める。
・警官隊が駆けつけると、犯罪名を書かれたカードがボスの上に置かれて一件落着。
この予定調和こそが『ズバット』の魅力であり、特撮ヒーロー作品というよりも時代劇を思わせる要因でもあります。この流れのなかに「日本じゃぁ二番目だ」、「この者〇〇〇(犯罪名)犯人」など、外連味(けれんみ)のある名セリフが挿入されました。
これらの名セリフは筆者を含む当時の子供たちもよくマネをしていました。特にオープニング曲途中に入る「飛鳥っ!!」のセリフは、誰もが叫んだことがあることでしょう。カラオケで歌った時、打ち合わせしなくても誰かが絶対に入れるくらいの「お約束」です。
このワンパターンをバカにする人もいるかもしれません。しかし形式美というものは、わかっていても魅力のあるものです。その点では長坂さんの描く脚本は秀逸で、毎回違った形でドラマを楽しませてくれました。そうした点も、名作時代劇と似ているかもしれません。
こうした要素から、当時の『ズバット』はヒーロー番組よりも時代劇に近いノリを持った作品でした。しかも、この人気は子供たちだけにとどまりません。少し上の世代、高校生や大学生も注目した作品となりました。放送当時、まだ一般的なサブカルチャー誌だった「月刊OUT」で特集されたことからもよくわかります。
もちろん、盛り上がりの最大の要因は、早川を演じた主演の宮内洋さんの魅力に尽きるでしょう。宮内さんがそれまでに演じたヒーローたちも魅力的でしたが、本作の早川はその総決算といっても過言ではありません。
この「主演に魅力がある」という点も、時代劇との共通項です。もともと東映特撮の原点は京都の東映撮影所にあるわけですから、そう思えば不思議なことではありません。昨今、地上波での新作時代劇のレギュラー放送は、NHK大河ドラマを除けばほぼ消滅する一方、『侍タイムスリッパー』や『SHOGUN 将軍』『イクサガミ』など、映画や配信作品などの企画で新たな試みが行われています。若い世代を含む幅広い層が、伝統ある時代劇の遺伝子を受け継いだ『ズバット』に興味を持ってもらえればと思います。
(加々美利治)
※『快傑ズバット』第1話の 4K ネガスキャン HD リマスター版は、2025年12月14日(日)19:00 より「TOKYO MX1」で放送予定です。