『鬼滅の刃』はゴールデングローブ賞を受賞できるか? 現地アメリカで実感した「評価の壁」 『ズートピア2』など強敵も
『鬼滅の刃』は不利な状況? 評価者の「アニメ」に対する認識は

ノミネートだけでもかなりの快挙だと筆者は思っていますが、当然受賞すればもっとすごい快挙となります。実際、『無限城編』がゴールデングローブ賞アニメーション賞を受賞できる可能性はどれくらいあるのでしょうか。
正直に言って、簡単ではないでしょう。今年はNetflixの視聴記録を塗り替えた『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』がノミネートしています。こちらの作品はとにかくアメリカではものすごい人気があり、視聴人数でいえば『無限城編』よりも多いと言えます。しかも、配信だけでなく、映画館でもイベント上映を行い、大ヒットを記録したのも大きなインパクトを与えています。
もうひとつ、現在日本でも大ヒット中の『ズートピア2』も有力候補です。やはり、ディズニーブランドはなんだかんだ言って強いです。現在の北米の映画館の救世主となっており、『無限城編』の世界興行収入の記録をあっさりと超えていきました。
その他、フランスの2作『Arco』と『アメリと雨の物語』は、国際映画祭で非常に高く評価された2本です。
ゴールデングローブ賞は、世界中の約300人の映画ジャーナリストによって投票されます。日本のアニメに詳しい人間はおそらくそれほど多くなく、シリーズを一通り見ていないと物語が完全に理解しきれない『無限城編』は不利になることが予想されます。
日本のアニメは、ファンダム(ファン層やファン文化)は大きく広がりましたが、その動きに既存の映画ジャーナリストがついていけているわけではないと考えます。まだまだ、そういう人たちにとって日本のアニメは(ジブリをのぞいて)未知の存在であり、テレビシリーズからの続きとなると、ますますわからないでしょう。
筆者は今年10月にロサンゼルスで知り合いの映画プロデューサーと話す機会があったのですが、その方曰く、「自分の周囲の人間はみんな『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』は見ているけど、『無限城編』を見た人はいない」とのことでした。これはジャーナリストではなく業界人の発言ですが、アニメファンダムの大きさに比して、メディアや業界の動きはまだついていけていないという印象を受けます。
そういうわけで、『鬼滅の刃』のゴールデングローブ賞受賞には大きな壁が立ちはだかっていると考えますが、そんな不利な条件下でノミネートを果たしたことが、すでに快挙です。『鬼滅の刃』は、賞レースにおいても歴史を作ったと言えるでしょう。今後、アカデミー賞にもノミネートできるかどうかも、期待したいところです。
(杉本穂高)




