『逆襲のシャア』幻の第1稿とは? 小説版が描いた「アムロの子供」という可能性
時代が早すぎた? 富野監督の先見の明

『逆シャア』第1稿については、「子持ちのヒーローはありえない」という意見もあったそうです。当時の感覚ではそうかもしれませんが、現在ではありえない話ではありません。
たとえば『ドラゴンボール』の「孫悟空」、『NARUTO -ナルト-』の「うずまきナルト」など、作中の時間の流れに沿って子供を持つヒーローは少なくありません。しかし例を挙げると、その悟空が子供を授かったのは『逆シャア』公開後、1988年秋くらいのことでした。悟空が結婚し、子供を持ったことは当時衝撃的だったので、やはり時代が追いついていなかったというべきでしょう。
逆に、「アムロに子供を作る」という展開は時代を先取りし過ぎたといえるかもしれません。富野監督の早すぎた発想に、周囲の感覚が付いてこなかったのでしょう。
歴史のIFとなりますが、もしも『ベルトーチカ・チルドレン』のままアニメ化された場合、アムロの子供が宇宙世紀でどういう立ち位置となったのか、興味は尽きません。昨今の歴史の隙間を埋めるような商品展開から考えると、アムロの子供が「正史」ではいないことは、大きな可能性を失ったと思います。
もっとも、宇宙世紀ではパラレルワールドと思われる世界もいくつか存在していました。その観点からみれば、正史以外での展開もあり得るかもしれません。『逆シャア』といえば劇場版の物語を思い起こす人が多いでしょうが、『ベルトーチカ・チルドレン』以降の物語も見てみたいと思う人も少なくないと思います。
(加々美利治)

