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「PS5」予想以上の安さだった理由を考察 ハードで黒字はほぼ不可能か

ハードで利益を出す必要はない

 この値段設定の大きな理由としては、マイクロソフトが11月に発売を予定している「X BOX」シリーズの新モデル「Xbox Series S」のフラッグシップタイプ「Xbox Series X」が4万9980円、カジュアルモデルの「Xbox Series S」が3万2980円と発表されていたことがあるでしょう。

 さらには近年、PCゲームが非常に盛んになっているという点も重要です。

 世界最大級のPCゲームプラットフォーム「Steam」で2019年にリリースされたゲームは8396本と、「PS4」が同時期にリリースしたパッケージタイトル170本、配信専用タイトル254本を圧倒的に上回っています。据え置き機である「PS5」がある程度の期間は最新鋭機としての地位を保ち、加速度的にスペックを向上させていくPCに対抗するには、現時点ではオーバースペックとも言える性能の機体を、ゲーミングPCよりも遥かに安く販売する必要があったのではないでしょうか。

 まず間違いなく、ソニーはハードが出す赤字をソフトで取り戻す予定でしょう。ドライブなしモデルが販売されることから分かるように、最近のゲームはダウンロード販売が主流となっています。ダウンロード販売はサーバーの維持費用はかかりますが在庫を抱える必要がないため、値崩れを恐れる必要がない利点があります。また追加ダウンロードコンテンツによる継続的な利益も見込め、過去しばしば問題となっていた追加生産時の製造遅延問題もなく、ヒット作を出せば安定した収益が得られます。ゲームの規模拡大により開発費用も高騰していますが、「PS5」が高いシェアさえ確保できれば回収は可能と見込んでいるのでしょう。加入すればプレミアムな特典を受けられる「PlayStation Plus」の収益もあり、無理にハードウェアで利益を出す必要がないことが、PS5の安さにつながっている、筆者はこのように考えています。

(早川清一朗)

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