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『仮面ライダークウガ』放送終了から20年。令和まで続くシリーズの基礎を築いた功績

2000年に放送された『仮面ライダークウガ』は、平成に蘇った最初の仮面ライダーとして知られています。同作はそれまでの「仮面ライダー」に新たな要素をもたらし、令和に続くシリーズの基礎を築いています。同作の功績と特色を振り返ります。

特撮に興味がない大人も熱中した『仮面ライダー』

『仮面ライダークウガ』キービジュアル。2020年には放送開始20周年を記念し、東映特撮YouTubeチャンネルで全話無料配信が行われた
『仮面ライダークウガ』キービジュアル。2020年には放送開始20周年を記念し、東映特撮YouTubeチャンネルで全話無料配信が行われた

 今や子供から大人まで幅広い層に愛される「仮面ライダー」シリーズですが、2000年に放送開始し、ちょうど20年前の2021年1月に最終回を迎えた『仮面ライダークウガ』は、平成に蘇った最初の仮面ライダーとしてさまざまな新機軸を生み出し、令和まで続く偉大なシリーズの基礎を築き上げていました。

 西暦2000年には社会人となっていた筆者は、仮面ライダーの新作が放送されているという話を聞いても、心は特に動きませんでした。子供のころは「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、「スーパー戦隊」を始めとするさまざまな特撮番組をTVにかじりついて見ていたのですが、特撮番組はある程度の年齢になったら卒業するものだ……というのが当時の風潮で、中学校を卒業して以降は『鳥人戦隊ジェットマン』や『激走戦隊カーレンジャー』といった特別な面白さを持つ作品以外、ほとんど見なくなっていたのです。

 そんなある日、大学時代の先輩から「新しい仮面ライダーがものすごく面白いからみんなで見ようぜ」と連絡があったのです。正直興味は無かったのですが、久々に友人同士で集まれるということもあり、参加することにしたのです。果たして先輩がわざわざ皆を集めてまで見せたがる『仮面ライダークウガ』とはどんな作品なのだろうか。そんな疑問を持った筆者の目に飛び込んできたのは、今まで見たことがないほどドラマのレベルが高い「仮面ライダー」でした。

 自分が知っている特撮と言えば、悪の組織の首領と幹部が悪だくみをして怪人が暴れ、それをヒーローが必殺技やロボットで倒す……という形式が当たり前でした。厳密に言えば『クウガ』も同様の形式を踏襲してはいるのですが、設定の密度とリアリティはそれまでの特撮作品とは比べものにならないほど洗練されており、自分たちの日常生活のなかに突然怪人が現れたらどうなるのかが、事細かく描写されていたのです。

 特撮作品ではしばしば怪物の脅威に対して自衛隊が登場しますが、本作では警察が対応しており、刑事ドラマとしての一面が色濃く出ています。特に怪人による殺人は野生動物の管轄とされており、殺人課ではなく警備部が前面に押し出されているのが大きな特徴と言えるでしょう。オダギリジョー氏演じる五代雄介とともに、ダブル主人公と言える位置づけで登場する葛山信吾氏が演じた一条薫の配属が警備部になっているのも、上記の理由があるからなのです。

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