サザエさんは「政略結婚」だった? 誕生から75年、国民的マンガに驚きの事実も
作者の都合で「結婚」させられた…?

今ではそそっかしくて陽気な主婦代表のサザエさんですが、福岡時代は独身で、なんと出版社に勤めていました。婦人警官の体験取材や作家の原稿とりなどの仕事をしていたバリバリの“働く女性”。ただしキャラのそそっかしさは今と同じで、初回の登場でも、家族があらたまって読者に挨拶しているところへ、お菓子を食べながら出てきて怒られていました。独身ですからもちろん名前は「磯野サザエ」。現在の「フグ田サザエ」は結婚してからの名前です。
結婚といえば、サザエさんの結婚にはどうも「政略結婚」のニオイが……。実は作者の長谷川さんは、福岡で半年ほど『サザエさん』を連載した後、大きな出版社からの仕事依頼を受けて、東京に戻ることになりました。そこで(一時休載を挟んだのち)「夕刊フクニチ」の連載を終わらせるために、サザエさんを突然お嫁に行かせてしまったのです。
終わらせるための結婚ですから、相手の紹介もなく、黒引き振袖に角隠し姿のサザエさんが車に乗っていってしまう……というお話で、まさにこれは、作者による政略結婚といえるでしょう。
しかし、ここからがサザエさんの本当のスタートだったのかもしれません。地元福岡でのサザエさん人気はすさまじく、読者から復活の要望が絶えなかったため、およそ9か月後に再び「夕刊フクニチ」にて連載が再開され、後には「朝日新聞」の連載マンガとして全国区の人気者となったのです。設定上でも、マスオさんと結婚して子どものタラちゃんをもうけたサザエさんは、東京のひとつ屋根の下に3世代でワイワイと暮らす賑やか家族となりました。
そそっかしくて陽気なサザエさんとその一家が巻き起こす日々の騒動は、終戦から日が浅く日本がまだまだ貧しかった時代に、“笑い”を届けてくれた、数少ない娯楽のひとつだったといいます。だからこそ、その後長く、令和の現在まで愛される作品になったのでしょうね。
(古屋啓子)



