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3月8日はエルピー・プルの誕生日。『ガンダムZZ』の路線変更とともに歴史を変えた…?

時代の変化の狭間で生まれた『ZZ』

エルピー・プルは作中で主人公・ジュドーへの思いを貫いていた。画像は『機動戦士ガンダムZZ』キービジュアル (C)創通・サンライズ
エルピー・プルは作中で主人公・ジュドーへの思いを貫いていた。画像は『機動戦士ガンダムZZ』キービジュアル (C)創通・サンライズ

 そんなプルが登場した『ZZ』は、1986年3月1日に放送開始しました。なぜこの作品にプルというキャラクターが必要とされたのか。それを考えていくうちに、『ZZ』を取り巻く時代背景が見えてきたのです。

 1986年は日本経済がバブル時代に突入した初期にあたりますが、ガンダムを含むロボットアニメは厳しい状況に置かれていました。1972年に放送が開始された『マジンガーZ』によって巨大化したロボットアニメ産業は、1983年に発売され爆発的な人気を獲得した「ファミリーコンピュータ」に、わずか数年でおもちゃ屋の主役を奪われてしまったのです。

『ZZ』放送前年の1985年には『機動戦士Zガンダム』『蒼き流星SPTレイズナー』『超獣機神ダンクーガ』『忍者戦士飛影』の4作品が放送されていますが、『Zガンダム』以外の3作品はすべて打ち切られました。確認したところ、『レイズナー』はプラモデルの売れ行き不振、『飛影』は後年、『幽遊白書』に登場したキャラクター・飛影の関連グッズとして在庫を処分しようとしたトラブルも報告されており、切迫した状況が伺えます。

 このような状況下で『ZZ』にかけられた期待は当然大きかったのですが、『Z』が子供には難しいとされたため、子供向けに路線変更が行われます。しかし『Z』での強敵ヤザン・ゲーブルがギャグキャラと化すなど、あまり評判がよいものではなく、徐々に軌道修正が図られてしまうのです。

 プルが登場したのはまさに、ギャグからシリアスへと移行する過渡期のタイミングで、明るく天真爛漫なためギャグでも使え、幼いニュータイプのパイロットとしてシリアスな展開でも十分に存在感を発揮します。後半部分でのプルツーとの戦いなどは、プルのシリアス面を使い切った名シーンと言えるでしょう。

 いま振り返れば、プルというキャラクターは毛色の違う『ZZ』の前半と後半をつなぐために必要な存在だったのかもしれません。もしギャグテイストのままストーリーが進行していれば、ガンダムの世界はどうなっていたのか。『ZZ』のシリアスへの回帰があったからこそ、ガンダムは現在まで続いていると考えれば、プルはガンダムの命を現代につなげた、極めて貴重なキャラクターといえるのではないでしょうか。

(早川清一朗)

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