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『ちびまる子ちゃん』勇退のキートン山田さん、ナレーション職人への契機「改名」だった

長年『ちびまる子ちゃん』でナレーションを担当してきたキートン山田さんは、クールな二枚目キャラからナレーション中心に活動を変化させてきました。そのきっかけとして考えられるのが、山田さんの「改名」でした。

クールな二枚目から凶悪な敵キャラまで…広がる演技の幅

3月28日の放送で『ちびまる子ちゃん』を卒業するキートン山田さん(画像:日本アニメーション)
3月28日の放送で『ちびまる子ちゃん』を卒業するキートン山田さん(画像:日本アニメーション)

 2021年3月28日(日)放送の『ちびまる子ちゃん』で、同番組を卒業することが決まっているキートン山田さんは、国民的アニメである『ちびまる子ちゃん』で長年にわたってナレーションを担当していました。山田さんがこれまでに演じてきたキャラは、みな思い出深いものばかりでした。

 もともとはサラリーマンとして就職するため、故郷の北海道から上京してきた山田さん。しかし、演劇の道を目指して劇団に入り、最初はサラリーマンとの「二足のわらじ」だったそうです。この時の芸名は本名と同じ「山田俊司」でした。

 後に退職して演劇の道に専念し、その時に先輩俳優である柴田秀勝さんに誘われて、日本初の声優専門プロダクションである青二プロダクションに入ります。

 最初は名前のないような端役から始まり、『アパッチ野球軍』(1971年)のオケラ、『デビルマン』(1972年)の東大寺入郎など、子供から老人までさまざまな役を演じていました。当時の作品を見てみると、こんな役まで演じているのか……というキャラの豊富さに驚きです。

 そんな山田さんの最初の代表作となったのが、『ゲッターロボ』(1974年)の神隼人でしょう。そのクールな二枚目キャラの演技は、男の子よりも女の子から人気が高かった印象があります。後に演じた『大空魔竜ガイキング』(1976年)のサコン・ゲン、『惑星ロボ ダンガードA』(1977年)のトニー・ハーケンも女性人気が高く、知的でクールなキャラは山田さんのはまり役でした。

 しかし、山田さんのスゴいところは、前述のようにさまざまな役を演じられるところ。この3人のキャラと同時に、『ゲッターロボ』ではガレリィ長官、『大空魔竜ガイキング』ではキラー将軍、『惑星ロボ ダンガードA』ではプラグ技術長官という、コテコテの悪役も同時に演じていました。これだけひとつの作品で別のキャラを演じられる人はそうはいません。

 ちなみに、『ゲッターロボ』では、自身はじめてのナレーションも兼任しています。

 ほかにも、おとぼけ系のキャラである『一休さん』(1975年~1982年)の足利義満こと将軍さま、得意分野となったクールな役どころでは『超電磁ロボ コン・バトラーV』(1976年)の浪花十三や、『サイボーグ009』(1979年)の004ことアルベルト・ハインリヒなど、アニメブーム黎明期を語るうえで忘れられない声優でした。

 ところが人生というものは常に順風満帆というわけにはいきません。必ずピンチとチャンスは交互に襲ってくるものです。

 このあとの怒涛の展開は……「後半へつづく」。

【画像】キートン山田さんの『ちびまる子ちゃん』最終出演は「花見」のお話(6枚)

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