映画『ホムンクルス』がネトフリ配信。綾野剛主演のマンガ実写化作品4選
アウトローたちの愛と欲望と裏切りの物語『新宿スワン』

綾野剛さんのエネルギッシュさが炸裂したヒット映画が、園子温監督が撮った『新宿スワン』(2015年)です。綾野さんはまだ無名の若手時代に、園監督のブレイク作『愛のむきだし』(2009年)に暴走族の幹部役で1シーンのみ出演していました。全国公開作『新宿スワン』で、お互いにメジャーな存在になった綾野さんと園監督はガッツリとタッグを組んでいます。
元スカウトマンである和久井健氏の同名コミックを原作にした『新宿スワン』は、歌舞伎町を根城にしたアウトローたちの愛と欲望と裏切りの物語です。お金のない若者・白鳥龍彦(綾野剛)は、風俗系のスカウトマン・真虎(伊勢谷友介)に声を掛けられ、同じ道に進むことになります。
「オレがスカウトした女の子には、必ず幸せだって言わせる」。龍彦は自分で決めたポリシーを貫き、スカウトマンたちが激しく争う歌舞伎町で頭角を現すようになっていきます。金髪で天パー、そして人情家という龍彦を綾野さんが熱く演じた『新宿スワン』は人気を博し、『新宿スワンII』(2017年)も製作されました。
龍彦のライバルとなる秀吉を演じたのは、『クローズZERO II』(2009年)や『GANTZ』(2011年)でも共演した山田孝之さん。山田さんが主演した劇場版『闇金ウシジマくんPart2』(2014年)や、ドキュメンタリードラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京系)には、綾野さんが客演しています。こだわり派の俳優同士として仲がよく、また切磋琢磨しあう関係であることがふたりの間からは感じられます。
大人の恋愛を赤裸々に描いた『ピース オブ ケイク』

綾野さんが出演した恋愛コメディで、おすすめなのが『ピース オブ ケイク』(2015年)です。『溺れるナイフ』で人気のジョージ朝倉氏の同名コミックが原作。綾野さん演じるレンタルビデオ店の店長・京志郎と多部未華子さん演じる恋多き女・志乃との大人の恋愛模様を描いています。
ひげ姿の綾野さんがにっこりと笑う姿には、志乃ならずとも多くの女性がキュンとなるのではないでしょうか。綾野さんと多部さんとのラブシーンが赤裸々に描かれていますが、主人公たちのデート先が熱海の秘宝館だったりするのも、大人の男女っぽくていい感じです。
名バイプレイヤーである田口トモロヲさんが、『アイデン&ティティ』(2003年)に続いて監督した作品です。バイト仲間として松坂桃李さん、菅田将暉さん、中村倫也さんといった人気キャストが助演しているのもチェックポイントです。
原作のイメージをうまく再現した『コウノドリ』

幅広い層から支持されたのが、2015年から放送が始まった医療ドラマ『コウノドリ』(TBS系)です。綾野さんは笑顔を絶やさない産婦人科医・鴻鳥サクラを演じ、鈴ノ木ユウ氏の原作マンガの雰囲気をうまく再現してみせました。サクラとは対照的にクールな医師・四宮を星野源さん、サクラの後輩医・下屋を松岡茉優さんが演じた『コウノドリ』は視聴率も好調で、2017年には第2シーズンが放送されています。
妊婦と赤ちゃんに寄り添う産婦人科医役を真摯に演じただけでなく、綾野さんはサクラのもうひとつの顔であるジャズピアニスト「ベイビー」も演じてみせました。役のためにピアノの猛特訓を受けたそうです。命を扱う医者の喜びと哀しみが、ピアノ演奏シーンに込められていました。俳優にとってハードルの高い作品でしたが、難しい役の方が綾野さんは演じがいを感じるのかもしれません。
こうして綾野さんの出演作を振り返ってみると、とんがった先鋭的な映画から、幅広い層が楽しめるメジャーな作品まで、いろんな役に挑戦していることが分かります。アクション時代劇『るろうに剣心』(2012年)の敵役・外印、コミック原作ではありませんが『天空の蜂』(2015年)のテロリスト・雑賀も印象に残っています。綾野さんが演じたことで、陰影のある役になったのではないでしょうか。
ダークサイドに取り込まれた悪役から、人間味たっぷりなコミカルな役まで、真逆なキャラクターを演じられるのが綾野剛さんの強みでしょう。来年は40歳となる綾野さんが、これからどんな役に挑戦するのか楽しみです。きっと、より魅力的な大人の男性を演じるようになるのではないでしょうか。
(長野辰次)





