公式も迷う、アニメキャラの意外な“下の名前” 『まる子』の姉って?
国民的アニメでも下の名前が意外にも知られていないキャラクターは多いようです。例えば『サザエさん』の中島くん、『ドラえもん』の出木杉くん、『ちびまる子ちゃん』のお姉ちゃん……下の名前は公式に設定されているものもあれば、情報が混在して公式までも戸惑っているものと奥が深いのです。
意外と奥が深い…国民的アニメキャラの下の名前をめぐる公式の立ち位置
アニメ『サザエさん』のエンディングでは長年、サザエやカツオの名に続いて「なん物」なる名前が並んでいました。2010年代に入るとこのクレジットは「伊佐坂」に変更されることに。そう「なん物」とは磯野家のお隣に住まう小説家・伊佐坂難物先生に他ならなかったのです。とはいえ劇中において伊佐坂先生を「なん物」呼ばわりする者もおらずエンディングだけ「下の名前」で紹介されるというちょっと不思議な状態が相当長い間続いていたのです。本稿ではそんな誰もが知るアニメ・マンガのキャラクターたちの知られざる「下の名前」をご紹介。劇中での呼ばれ方にも注目すると、意外な「目線」も明らかになってきます。
●「下の名前」難民が多い『サザエさん』 公式にも記載がないキャラも多い
アニメ『サザエさん』において「名前」に関する情報は最小限に留められています。カツオのベースボールバディ「中島くん」も公式サイトを確認する限り「中島」とだけ記載されています。彼の名前が「ひろし」だと確認できるのは彼の家族が登場するときくらいかもしれません。その他、カツオのクラスメイトの早川さん、マスオさんの同僚である穴子さんなども「下の名前」難民として有名です。奇行子(きこうし)こと堀川くんも名前ははっきりとは設定されていません。なお、名前を呼ばれる機会がない点では磯野波平も同じはず。しかし彼は次回予告で自ら「波平です」と名乗っています。波平を波平たらしめていたのは波平だったのです。
●『ちびまる子ちゃん』ではお姉ちゃんの下の名前を打ち出すSPを放送
日曜日の夕刻を彩ってきたもうひとつの国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』。こちらも下の名前が知られていないキャラが多いです。「まる子」だって劇中での本名は「ももこ」なのです。お母さんは「すみれ」、父ヒロシは言わずもがな。さてお姉ちゃんはというとこれが「さきこ」という設定。劇中、お姉ちゃんが「さきこ」と呼ばれたことは数えるほどで、公式もそれを自覚してか2002年には「お姉ちゃんの名前はさきこだったのよ-SP」と銘打った特別回が放送されました。なお、おばあちゃんは「こたけ」です。また『サザエさん』と違いクラスメイトの多くはフルネームが明かされています。ブー太郎は富田太郎、ハマジも浜崎憲孝(こちらは実在)。山田は山田笑太、野口さんは野口笑子(えみこ)となっています。
●『ドラえもん』に関しては”公式”も迷っているキャラが?
小学生の頃、「ドラえもんにやたら詳しい奴」が「ピアノが得意な子」と同じくらいバランスよく各クラスにひとりは配分されていました。この在野の研究者より、のび太の父の名は「野比のび助」、母の名は「野比玉子」という知識を授かった人も多いことでしょう。またジャイアンこと剛田武の妹であるジャイ子の本名も長らく議論の対象となっており、時に「ジャイアンはジャイ子の兄(アン)ちゃんだからジャイアンであり、ジャイ子は本名」というスリリングな説も登場したりしましたが、「不明」というのが公式見解であるようです。
ここまで、現在の「公式サイト」に準拠して「下の名前」を紹介してきましたが出木杉くんの名に関しては公式も迷っています。彼のフルネームは「出木杉英才」なのですが、読み方となると「えいさい」と「ひでとし」の2説あると公式に記されています。その背景には名前が固まるまでの過程が長かったことなどがあるようですが、今なお公式(大人たち)を惑わす底知れぬ天才児であることは確かです。
『サザエさん』は「下の名前」不明キャラは大人と子供とばらつきが見られないのに対し、『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』は大人に多い傾向があります。これは群像的目線の『サザエさん』に比べ、『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』は主人公(のび太、まる子)目線が強調されているためかもしれません。彼らが知りうる情報だけが視聴者に明かされている、と考えればこの「下の名前」不明キャラのばらつきもある程度の説明はできそうです。例えばジャイアンの母親の名前は不明ですが、そこまで気にされていない(ように思える)のは、そもそも友人のお母さんの名前はさほど気にならなかった私たちの記憶と、どこか似ています。「下の名前」が気になるキャラクター、いませんか?
(片野)