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『名探偵コナン』時代の変化を感じるトリック 犯人たちの涙ぐましい努力とは?

1994年に「週刊少年サンデー」で連載が始まった『名探偵コナン』。長い連載のなか、コナンと犯人たちは多くの頭脳勝負を繰り広げてきました。そして、そのなかには今読み返すと懐かしさを感じる道具が多く登場しています。

「留守番電話」を使った荒技

映画最新作も絶好調!『名探偵コナン 緋色の弾丸』ポスタービジュアル (C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
映画最新作も絶好調!『名探偵コナン 緋色の弾丸』ポスタービジュアル (C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 1994年からおよそ27年の長期連載を続けている『名探偵コナン』。2021年10月18日ごろに、単行本100巻の発売が予定されています。過去のエピソードのなかには、時代を感じさせる道具を使ったトリックも多く登場しています。荒技とも言える犯人たちの創意工夫、涙ぐましい努力を紹介します。

●留守電の声を使ってひとり芝居

 まずは留守番電話を使ったトリックです。犯人は会社員である田中知史という男。彼はけんかした自分の兄・田中和由を殺してしまうのですが、その死体をコナンたちに偶然見られてしまい家に押しかけられます。どうにかしてごまかさなければ。そう思った彼は、和由の死体をあたかも生きているかのように見せる芝居でその場を乗り切ろうとします。

 そこで彼が使った大胆なトリックがコチラ。(1)まず留守番電話に兄の声を真似た自分の怒鳴り声を録音。(2)その後、自分がコナンや警察と会話しているタイミングでこっそり電話をかける。(3)留守番電話が作動し偽装した兄の怒鳴り声が流れる。(4)コナンたちはイライラした和由が2階の部屋から怒鳴って来たと思う(まさか和由が死んでいるとは思わない)。

 留守番電話を使った、大胆すぎるひとり芝居。現代のスマホやレコーダーなどを使えばもう少し楽にできたかもしれません。ちなみに彼はこのほかにも、テレビのオフタイマーを使って、兄がテレビの電源を自分で消したように見せる芝居も披露しています。

●留守電のメッセージでアリバイ工作

 もうひとつ、留守番電話を使ったトリックです。富沢財閥会長の富沢哲治が何者かに殺される事件が発生し、容疑者は息子である太一、達二、雄三の三つ子の兄弟に絞られました。しかし犯行時刻は全員にアリバイがあり、コナンたちを悩ませます。

 このときの犯人は長男の太一だったのですが、彼が使ったアリバイトリックは、(1)犯行現場にある留守番電話の時間を犯行(予定)時刻まで進ませる。(2)そこに電話を掛けて自分の声でメッセージを残す。(3)留守番電話の時間を元に戻し犯行。(4)犯行時刻には自分は別の場所から電話をかけたとアリバイを主張……というものです。

 留守番電話本体の時間をイジるという、なかなか大胆な発想。もし同じことを現在のスマホなどでやろうとしても、外部から時刻情報の電波を受け取り自動調整されてしまうため、難しくなると思われます。

インスタントカメラを使用、「手間かけすぎ」なトリック

ひとり芝居の男、インスタントカメラの男の回を収録 著:青山剛昌『名探偵コナン』第6巻(小学館)
ひとり芝居の男、インスタントカメラの男の回を収録 著:青山剛昌『名探偵コナン』第6巻(小学館)

『名探偵コナン』の時代を感じさせるトリックに、カメラを使ったものもありました。

●インスタントカメラの写真でアリバイ工作

 続いては、インスタントカメラを使ったトリックです。事件は、とあるホテルの一室で人気作家・今竹智が殺害されたというもので、犯人は友人の笹井宣一。彼はコナンたちから疑いをかけられますが犯行時刻のアリバイを主張。証拠として自信満々にインスタントカメラを差し出します。

 その写真を見ると……お祭り会場にいる笹井、そしてそのバックには「天」の火文字が浮かんでいる山の風景が。これは「天下一春祭り」という、豊作を願って山に「天」「下」「一」という火文字を順番に灯す設定のお祭りです。

 笹井の主張は……犯行時刻はちょうど「天」の文字が灯されている時間で、そのとき自分は祭りの会場にいたからアリバイが成立する、インスタントカメラだから加工も不可能というものでした。確かにこれが事実ならアリバイになりますが、実はこの写真、1年前の祭りで撮ったもの。笹井はアリバイのための写真を撮ったあと、1年待ってから犯行に及んでいたのです。しかも服装や髪型も同じものにそろえなければ意味がないため、なかなか手間と時間が掛かるトリックです。

 ただ、そこまで苦労しておきながら「1年前とは手首の日焼け痕が違う」という凡ミスをしてしまい、計画は失敗に終わったのでした。

●FAXを使って火事を起こす

 最後はFAXを使ったトリックです。犯人の沢井学は、同じ大学の推理研究会に所属する内田麻美の気を引こうと「彼女が眠っている部屋で火事を起こし、そこに駆けつけた自分が助ける」という計画を立てます。

 なかなかサイコパス的な発想に驚かされますが、そのトリックも思い切ったものでした。(1)内田麻美を睡眠薬で眠らせて部屋に放置。(2)部屋のFAXの下に火のついたろうそくがささったケーキを設置。(3)頃合いを見計らってコンビニからFAXを送信。(4)FAXの紙にろうそくの火が燃え移り火事になる。

 今ではパソコンの普及とともにメールでのやり取りが当たり前になっていますが、当時、家にFAXを置いてあるところも多かったからこそ考え出されたトリックと言えるかもしれません。

 時代によって、道具やトリックも変化する推理マンガを振り返れば、当時の暮らしを学べる歴史の勉強にもなるかもしれません。

(吉原あさお)

【画像】ひと昔前の『名探偵コナン』、犯人たちの涙ぐましい努力が見える巻

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