『スパロボ30』の主人公機「ヒュッケバイン」 現実にも「バニシング」した人気機体
リアルになったバニシング・トルーパー

その後、これまで『スパロボ』に登場してきたオリジナルのロボットが一堂に会したゲーム『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION』(2002年)が発売され、ヒュッケバインもこの作品に参加、いくつかのバリエーションと設定が付け加えられました。
一部は『α』からの設定ですが、ブラックホールエンジンを搭載した2機を「ヒュッケバイン008L/R」、通常型エンジンを搭載した「ヒュッケバイン009」が1機の合計3機が制作されます。この改修機で『α』にも登場した「ヒュッケバインEX」、009を大幅に改造した「エクスバイン」、ちなみにエクスバインはエクストラ・ヒュッケバインの略だそうで、この2機は同一の存在と言えるかもしれません。これが後述する理由から「アッシュ」、そして「エグゼクスバイン」へと形を変えていきました。
Mk-IIはもともと次期量産試作型という設定だったことから、「量産型ヒュッケバインMk-II」という機体があります。そういう意味ではヒュッケバインシリーズでもっとも出番があるけど、活躍が少ない機体と言えるかもしれません。
さらに前述したライの兄であるエルザム・V・ブランシュタインが、家紋を付けた黒い専用機である「トロンベ」として使ったヒュッケバインのバリエーションがいくつかあります。このほかにも量産型ヒュッケバインMk-IIがマシンセルで変異したベルゲルミルなど、細かいバリエーションも含めれば20機以上の種類がありました。
このように『スパロボ』オリジナル機体であるにも関わらず、サイバスターやSRXのように専用パイロットのいないヒュッケバインはバリエーションも多く、人気も高かったのですが2006年のある時期からゲームやオモチャ、雑誌などのメディア展開から一斉に姿を消してしまいます。
この時期の『スパロボ』の展開は、OVA『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION THE ANIMATION』(2005年)が発売されてスパロボ人気は高まってきたところで、続いてテレビアニメ『スーパーロボット大戦OG -ディバイン・ウォーズ-』(2006年)が10月から翌年3月まで放送されていました。
さらに『スパロボ』15周年記念として2006年に発売予定だった『スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS』が、「不測の事態で企画サイドの開発進行を一時的に中断せざるを得なくなった」というコメント共に翌年6月まで発売延期されます。これをして、ヒュッケバインに関する何かにトラブルが起こったことは安易に想像できますが、今まで公式から正式なコメントはこれ以上ありません。ただ、ファンからはヒュッケバインのあだ名から皮肉って「リアル・バニシング・トルーパー」と言われるようになります。
ヒュッケバインが再び陽の目を浴びたのは、『スパロボ』25周年記念タイトルの『スーパーロボット大戦V』(2017年)でした。約10年ぶりの復活にファンが歓喜したのは当然でしょう。 そのヒュッケバインが主役機、しかも新バージョンで登場ということで『V』の時以上にファンが期待を寄せるのは当たり前なのかもしれません。
フィギュア付き限定版が早々に売り切れるなど、話題に事欠かない『30』ですが、その何割かは復活したヒュッケバインの人気だと思います。周年記念で登場することからも、そのことがよく分かるのではないでしょうか?
(加々美利治)