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『ガンダム』打ち切りで未登場も、後の作品で活躍したMSたち。「トミノメモ」から実現へ

『機動戦士ガンダム』は放送当時の視聴率が振るわず、52話の放送予定が43話へと短縮されています。本来ならば完全に幻と化すはずだった未放映分の構想は、富野喜幸(現:富野由悠季)監督の手による通称「トミノメモ」が残されており、登場する予定だったモビルスーツのうち数機が、後の作品に登場しています。

ジオン製だが連邦軍で運用、『UC』の時代まで生き延びた機体も

『Zガンダム』で登場を果たしたガルバルディβ。画像は「HGUC 機動戦士Zガンダム ガルバルディβ 1/144スケール 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)
『Zガンダム』で登場を果たしたガルバルディβ。画像は「HGUC 機動戦士Zガンダム ガルバルディβ 1/144スケール 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)

『機動戦士ガンダム』は1978年の放送当時、視聴率の低迷から放送話数が縮小されていました。その影響で、構想にありながら結局描かれなかったモビルスーツ(MS)たちが存在していました。それらの構想は、富野喜幸(現:富野由悠季)監督が残した通称「トミノメモ」に記され、のちに別の作品で日の目をみることになります。今回は、「トミノメモ」から実際に登場を果たした貴重なMSたちを紹介します。

●『Zガンダム』に登場した「ガルバルディ」

 ガルバルディは、シャア・アズナブルがララァ・スンのエルメスを護衛していた際に搭乗した機体とされています。TVアニメでのシャアは「MS-14Sシャア専用ゲルググ」に搭乗していましたが、ここがトミノメモではガルバルディとなっていました。

 後にジオン軍の兵器開発計画「ペズン計画」で製造された機体として設定され、ギャンとゲルググの特性をあわせ持った機体とも、格闘戦に主眼を置いた機体であるとも言われています。

 1年戦争末期に試作機がロールアウトしますが戦況に影響を与えることはなく、連邦軍に接収されました。その後、改修型が量産されて「ガルバルディβ」として『機動戦士Zガンダム』に参戦。ライラ・ミラ・ライラ大尉と部下の合計4機が登場し、サラミス改「モンブラン」をジェリド・メサ隊と共同撃墜する戦果を挙げていますが、クワトロ・バジーナのリックディアスとカミーユ・ビダンのガンダムMK-IIにより3機が撃破されています。

●ガンダムを倒す予定だった「MS-12 ギガン」

 トミノメモによると、終盤にア・バオア・クー攻防戦で登場予定だったMSがギガンです。支援/防空用の簡易生産型モビルスーツとして設計されており、武装は頭頂部に180ミリキャノン砲と同軸機関銃、右腕部に120mm機関砲、左手にクローアームが装備されています。

 本機最大の特徴と言えるのがホイール状の脚部で、関節の部品点数が多い他のモビルスーツと比較して故障しづらく、また車と同じ感覚で動かせるため操縦も楽とされており、戦争末期に投入されるモビルスーツとしては非常に有用な存在として設定されていたようです。車輪を用いた機動性を生かし、移動砲台として運用した場合はかなりの脅威になることは間違いないでしょう。

 実はトミノメモではギガンがガンダムを倒す予定となっていました。最終盤でのガンダムはすでにボロボロとなっており、アムロのニュータイプ能力をもってしても、すでにギガンの猛攻に耐える力は残っていなかったのです。

 長らく映像化には恵まれていなかったギガンですが、OVA『機動戦士ガンダムUC』のエピソード7「虹の彼方に」で、まさかの登場を果たしています。このときのギガンは脚部ユニットを大型プロペラントブースターに、右腕部の機関砲をビームガトリングに換装した宇宙戦仕様としての改装を受けています。すでに旧式化著しい一年戦争時代のモビルスーツでありながら、ラプラスの箱をめぐる最終決戦に姿を現したことは、ガンダムファンに大きな驚きを与えました。

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