ガンダム作品の最終兵器「コロニーレーザー」とは 宇宙に追いやられた者たちの怨念が宿る?
ガンダムはコロニーレーザーに追いついた?

「ソーラ・レイ」に続いて登場したコロニーレーザーは、『機動戦士Zガンダム』に初登場した「グリプス2」となります。ティターンズの戦略開発拠点、サイド7の2バンチコロニー「グリーン・ノア2」のふたつあるシリンダーのうち1基を改装したものであり、核パルスエンジンを搭載して移動が可能です。エネルギー充填システムも改良されており、チャージ時間は大幅に短縮されています。
劇中ではまずティターンズが「グリプス2」を使ってスペースノイドを恫喝(どうかつ)するためにサイド2の18バンチコロニーを破壊したことにより、戦略的制圧目標とされました。ティターンズ、エゥーゴ、アクシズの3勢力による激しい争奪戦の末に、最終的にエゥーゴが奪取し、小惑星アクシズの落下阻止やティターンズ艦隊のせん滅に使用されたのち、損傷放棄されました。
しかしながら「グリプス2」は秘密裏に修復されており、宇宙世紀0096年にはビスト財団のマーサ・ビスト・カーバインに抱き込まれた連邦軍上層部により使用されました(『機動戦士ガンダムUC』)。このとき放たれたコロニーレーザーはジオン残党軍「袖付き」を全滅に追い込みましたが、ユニコーンガンダムとバンシィから発生した強力なサイコ・フィールドにより相殺されています。人類最強の兵器であるコロニーレーザーに、人類の可能性を形にする存在であるガンダムが、最終的には追いついたのです。
増えすぎた人口を宇宙に送り出すために作り上げられたスペースコロニー。地球に残るものがエリートとされ、宇宙移民は狭苦しいコロニーで生涯を終える運命にあります。ジオン公国を生み出したサイド3は地球から最も離れた宙域に存在しており、閉塞感の強い密閉型コロニーを中心とした構成となっています。
寒く、冷たい世界でひそやかに育まれた、地球に住まう人間たちへの反感が、住処そのものを兵器とし宇宙を焼き尽くすメギドの火を生み出したのかもしれません。ガンダム世界のどこかで、今もコロニーレーザーの光が抑圧者を焼き尽くす光景を、待ち望んでいる人間がいるのでしょう。
(早川清一朗)