「赤い地球」を救った、『宇宙戦艦ヤマト(第一作)』最終回 しぶといデスラーを退け…
「地球か……何もかもみな懐かしい……」

古代は雪を失った悲しみを、病床の沖田に吐露します。地球でひとり生きていかなければいかないのかと絶望する古代に、沖田は「地球にはヤマトを待っている人がたくさんいるじゃないか」と語り、決して独りぼっちではないと諭します。死を迎える覚悟を決めた沖田の言葉を、古代はしっかりと胸に刻みつけ、両者は最後にがっちりと握手を交わしました。これが最後の会話になることを、ふたりとも悟っていたのです。
そうして、ヤマトはついに地球を望む距離へとたどり着きました。遊星爆弾に破壊され、赤い星となった地球でしたが、ヤマトの乗組員たちにとってはかけがえのない故郷です。古代は安置された雪の身体を抱きかかえると、地球が見える場所へと運び入れ、皆と喜びと悲しみを分かち合うこととなりました。
しかしここで、再び現れたデスラーがヤマトを撃沈しようとデスラー砲を放ちます。回避は不可能な状況ではありましたが、真田さんが何かを起動しヤマトは白く発光、デスラー砲を跳ね返し、デスラーは艦もろとも炎の中に姿を消しました。真田さんはこんなこともあろうかと、冥王星で見たガミラスの反射衛星砲にヒントを得て、密かに空間磁力メッキを開発していたのです。
最後の危機を乗り越えた乗り越えたヤマトでしたが、ついに沖田館長の命が尽きるときがやってきました。家族写真を手にした沖田は、地球を眺めながら涙を流し、「地球か……何もかもみな懐かしい……」と呟きながら、こと切れました。
沖田十三52歳。その身を地球に捧げ、すべての命を使いつくした男の最期でした。
偉大なる艦長を失ったヤマトでしたが、喜びも待っていました。死んだと思われていた雪が、実は生きていたのです。片道14万8千光年、往復29万6千光年の旅路を終え、生き残ったわずかな乗組員たちの顔に喜びがあふれます。
西暦2200年9月6日、ヤマト生還。
地球は救われ、再び青い姿を取り戻しました。
まるで何事もなかったかのように。
(早川清一朗)