劇場アニメ『パトレイバー』が3週連続放映 「東京が戦場化」をリアルに感じる演出
自衛隊のクーデターを装ったテロと戦う第2作

5月8日(日)に放送される第2作『機動警察パトレイバー2 the Movie』は、ミサイルや銃弾が飛び交う都市型テロが描かれます。「特車二課」の第二小隊を率いる小隊長の後藤(CV:大林隆介)と第一小隊の小隊長・南雲しのぶ(CV:榊原良子)を中心にした、よりシリアスな物語となっています。
横浜のベイブリッジがミサイルで爆破される事件が勃発します。元自衛官の柘植行人(CV:根津甚八)を中心にしたグループによる犯行です。柘植は自衛官時代、PKO(国連平和維持活動)のために東南アジアに派遣され、部下を全員失うという悲劇を味わっていました。平和を貪(むさぼ)る日本社会への復讐から、自衛隊のクーデターを装った犯行を考えたのです。
ベイブリッジ爆破は、あいさつ代わりに過ぎませんでした。柘植たちは密かに用意していた戦闘ヘリを使って、都内の通信施設や橋梁を次々と爆破。地下ケーブルも破壊され、東京は陸の孤島と化してしまいます。さらに東京上空を3機の無人飛行船が回遊します。自衛隊の攻撃を受けた飛行船の一機は新宿に墜落し、大量のガスを放出。街を大パニックに陥れます。
柘植たちの考えた都市型テロは荒唐無稽なものと思われていたのですが、1995年にはオウム真理教による「地下鉄サリン事件」が実際に起きています。オウム真理教は当初はラジコン機を使って、サリンを撒くことを考えていたそうです。フィクションが現実化したような、ゾッとする恐ろしさを感じさせます。
人為的に生まれた巨大生物が街を襲う第3作

5月15日(日)に放送される『WXIII 機動警察パトレイバー』は、全長20メートルに及ぶ巨大生物との戦いが描かれた番外編的な作品です。押井監督から、高山文彦総監督、遠藤卓司監督にバトンタッチ。脚本は『クルクルくりん』や『石神伝説』などで知られる漫画家とり・みき氏が担当しています。
湾岸近くにあったレイバーが、何者かに襲撃される怪事件が多発します。久住刑事(CV:綿引勝彦)と秦刑事(CV:平田広明)は、この事件を追い、やがて犯人は「廃棄物13号」と名づけられた開発中の生物兵器であることを突き止めます。
若手刑事の秦と生物医学研究所に勤める岬冴子(CV:田中敦子)が物語の主人公となっており、「土曜ワイド劇場」っぽい大人たちのワケありなドラマとなっています。「特車二課」の出番は限られていますが、物語後半には進化した巨大生物とパトレイバーとの肉弾戦が待っています。
劇場アニメ「機動警察パトレイバー」3作は、聴覚や臭覚が物語の重要なモチーフとなっています。また、空を飛ぶ鳥たちの俯瞰した視点から、東京が描かれているのも印象的です。バブル景気とその後のバブル崩壊によって、東京の景観がずいぶんと変わったことを感じさせます。リアルなロボットアニメとして人気の『機動警察パトレイバー』ですが、変わりゆく街・東京がもうひとりの主人公なのかもしれません。
(長野辰次)




