ファン歓喜なぜ?『ククルス・ドアン』登場で話題「シャア専用高機動型ザクII」とは
公開間近の『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』に登場するシャアが乗り込むことになった新たな専用機。それはガンプラファンにはなじみ深いMS-06R-1A高機動型ザクIIでした。その人気の秘密とオリジン版ならではの設定を解説します。
ガンダムと人気を二分した名機「R型」

6月3日公開予定の『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』で登場することが発表された「MS-06R-1A シャア専用高機動型ザクII」。ファンからは令和の時代に誕生した新たなシャア専用機に驚きの声が上がりました。
メカ好きのガンダムファンなら有名な高機動型ザクですが、知らないという方は当然いるでしょう。そこで、この「R型(タイプ)」について説明いたします。
現在のガンダムでの設定の基礎と呼ばれている書籍『宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY』(1981年9月)で、ザクのバリエーションのひとつとして文字設定だけが作られたのがR型の初出でした。その後、『SFプラモブック1 機動戦士ガンダム REAL TYPE CATALOGUE』(1982年4月)に、大河原邦男さんがデザイン画を描き起こしました。
そして、アニメで登場したMS(モビルスーツ)をすべて発売した後、ボツデザインのアッグシリーズまでプラモ化したバンダイが、新しいガンプラシリーズとして立ち上げた「MSV(モビルスーツバリエーション)」の第1弾として発売されたのがR型だったのです。
このR型はアニメで登場した「黒い三連星」がドムに乗る前まで使っていたという設定が魅力のひとつでした。使用したとされる他のパイロットもジョニー・ライデンやシン・マツナガといったエースぞろい。他のMSV機体と違うエース専用機特有の、ブランド感のようなものが子供心をくすぐったのでしょう。
R型はMSVの顔と言うべき存在になり、主役機であるガンダムと肩を並べるほどのポジションを得ました。通常サイズの1/144にとどまらず、1/100や1/60のビッグスケールでもラインナップされ、ついには初の1/30サイズでバブルキャスト(発泡スチロール製)モデルまで販売されます。
このR型の人気がガンプラブームをふたたび盛り上げ、後の新シリーズのアニメ化という道のりを後押ししました。そう考えると、今日のガンダム人気の一因を担ったザクだったと言えるかもしれません。
この人気の高さは現在まで続き、ザクIIが立体化される際はバリエーションとしてシャア専用ザクIIがまず販売され、その次にR型がラインナップされることが比較的多くなっていました。
さらにプレミアムバンダイでは期間限定品として、ギャビー・ハザード、マサヤ・ナカガワ、ロバート・ギリアム、ユーマ・ライトニングなど、色変えで各エースの機体をラインナップしています。世の中にはR型専門のコレクターがいるのでは?と思わせるほどの豊富な商品展開ですね。
こうした背景からガンダムのMSファンには有名なR型ですが、ガンプラでの展開が中心だったためにアニメファンにはなじみの薄いMSかもしれません。ゲームなどを除くと、R型が初めてアニメに登場したのは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN(以下オリジン)』(2015年4月)になります。
そういった事情から、今回の劇場版でシャア・アズナブルの専用機として登場したことは、大変にセンセーショナルな出来事だと言えるでしょう。