話題になった海外実写版映画5選 キャラの再現度や後味悪すぎな独自結末も見どころ
カンヌを席巻した韓国版実写映画

●『オール・ユー・ニード・イズ・キル』
厳密にマンガ原作ではありませんが、小畑健先生作画でマンガにもなった、桜坂洋先生のライトノベルを原作にしたハリウッド映画です。主人公は青年から当時50代のトム・クルーズに変更になり、舞台も日本からヨーロッパに変更。ループするSFバトルものであることを除けば、原作とは大きく異なる内容です。
また、登場人物の設定や性格も変わり、原作の主人公キリヤ・ケイジがループのなかで苦悩や弱さを見せるのに対し、映画の主人公ウィリアム・ケイジは、最初は報道官であるものの、行動がマッチョで話の展開がよりシンプルになっています。ヒロインのリタ・ヴラタスキも十代の少女からマッチョなブロンド成人女性(エミリー・ブラント)になっており、全体的に画面が濃ゆいです (誉め言葉) 。こちらもまたハリウッド的で、エンタメ色の強い映画に仕上がっています。
●『オールド・ボーイ』
『ルーズ戦記 オールドボーイ』(原作:土屋ガロン、作画:嶺岸信明)を原作にした『オールド・ボーイ』は、舞台は韓国に移り、キャラクター名も変更されています。全体の流れはおおむね原作に忠実ですが、監禁中の描写が詳細化され、全体にセックス&バイオレンスの要素が2、3割増しになっています。
出色なのが、大幅に改変された結末です。こちらは原作よりもショッキングかつ背徳的で、パク・チャヌク監督の底知れない変態性(誉め言葉)を感じます。前述のハリウッド版3作品が、全体的にマイルドでよりエンタメ性を強くする方向に改変されたのに対し、こちらはよりアーティスティックに生まれ変わり国際市場で高く評価されました。第57回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリ(第2席)を受賞し、後にハリウッドで原作マンガではなく映画を原作としてリメイクが制作されています。
マンガ原作の海外作品は進行中の企画もあり、『僕のヒーローアカデミア』『ONE PIECE』『進撃の巨人』『ワンパンマン』などの作品が、ハリウッドでの映像化が発表され、進行しています。今後も「MANGA」は、映像作品の元ネタとして地位を築いていくことでしょう。
(ニコ・トスカーニ)