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『るろうに剣心』4作が「金ロー」で放映 『京都大火編』成功はギャップ萌えにあり?

文化系男子のイメージを更新した神木隆之介さん

シリーズ第1作となる『るろうに剣心』DVD(アミューズソフトエンタテインメント)
シリーズ第1作となる『るろうに剣心』DVD(アミューズソフトエンタテインメント)

 剣心役の佐藤健さん、薫役の武井咲さん、相楽左之助役の青木崇高さん、斎藤一役の江口洋介さんら第1作からのレギュラーメンバーに加え、『京都大火編』からは宗次郎役で神木隆之介さんが加わります。神木さんは原作マンガに登場する宗次郎の大ファンで、かねてから「宗次郎役をやりたい」と周囲にアピールしていたそうです。それもあって、宗次郎へのなりきりぶりは見事なものになっています。

 もちろん、第1作の評価が高かったことがシリーズ化を成功させたわけですが、『京都大火編』の人気が原作を読んでいない層にまで広まった要因のひとつには、「ギャップ萌え」もあったのではないでしょうか。

 外見上は宗次郎にぴったりの神木さんですが、それまでは主演映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)のような文化系男子のイメージがありました。実際にソフトな性格で人当たりのよい神木さんですが、『京都大火編』では所属事務所が同じ佐藤健さんらと意欲的にトレーニングに取り組み、難易度の高い殺陣を習得してみせました。超低姿勢での剣心との斬り合いなどは、それまでの時代劇にはなかった見応えのあるシーンです。

 宗次郎が一本足で「けんけん」すると、特殊能力「縮地」が発揮されます。ふんわりした雰囲気の神木さんが、激しい殺陣を披露する場面は、「ギャップ萌え」を感じさせます。

劇中に仕掛けられた、さまざまなサプライズ

 神木さんだけでなく、操役の土屋太鳳さんも小柄な体型ながら、切れ味鋭い格闘シーンを演じてみせています。香港のアクション俳優ドニー・イェンを思わせる、華麗な空中蹴りは必見です。さらに翁役のベテラン俳優・田中泯さんは、トンファーを使った迫力満点の殺陣で魅了します。1945年生まれの田中泯さんの大奮闘ぶりにも、思わず「キュン」してしまいます。さまざまな「ギャップ萌え」を『京都大火編』は見つけることができます。

 実写版「るろうに剣心」シリーズを撮ったのは大友啓史監督。福山雅治さん主演の大河ドラマ『龍馬伝』などで知られる大友監督が、NHKを退職して最初に手掛けたのが「るろうに剣心」シリーズでした。従来の時代劇や日本映画の常識にとらわれることなく、積極的に新しい演出方法を取り入れています。俳優のパブリックイメージや性別、年齢に関係なく、逆にサプライズなシーンにしている点も、大友演出の面白さでしょう。

 原作のイメージを壊さなかったことが、実写版「るろうに剣心」シリーズのヒット理由ではありません。イメージを上回る「驚き」を観客に提供したからこそ、ヒットシリーズになったと言えるのではないでしょうか。

 神木さん演じる宗次郎は、来週放送の『伝説の最期編』で剣心と再び激闘を繰り広げた後は、生死が分からないままとなっていましたが、10月14日放送の『最終章 The Final』で宗次郎の安否が明かされることになります。最終章を楽しむ上でも、『京都大火編』は見逃せません。

(長野辰次)

【画像】完結編まで地上波で見られる幸せ! 映画『るろ剣』放映のラインナップ(5枚)

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