『仮面ライダーV3』放送開始から50年 子供たちが共感した、ライダーマンの「弱さ」
変身ブームを巻きこした特撮ドラマ『仮面ライダー』に続き、新番組として始まったのが『仮面ライダーV3』でした。1973年2月の放送スタートから、2023年は50周年を迎えます。力と技を併せ持った、頼もしいヒーローでした。シリーズ終盤に登場し、V3と共闘した「ライダーマン」も忘れられません。V3、ライダーマンの活躍を振り返ります。
シリーズ人気を決定づけた『仮面ライダーV3』

「変身、ブイスリャー!」
宮内洋さんのそんな叫び声が忘れられないのが、特撮ドラマ『仮面ライダーV3』です。変身ブームを呼んだ『仮面ライダー』の後続番組として、1973年2月17日から1974年2月9日まで全52話がテレビ放映されました。
当時26歳だった宮内さんは「東映」所属の俳優だったこともあり、東映制作のアクション特撮ドラマの主人公に抜てきされ、はりきっている様子が画面ごしに伝わってきました。普通なら「変身、ブイスリー!」と言うはずの変身シーンですが、録音スタッフと相談した上で響きのよさから「ブイスリャー!」になったそうです。
仮面ライダーが現在まで続く人気シリーズになることを決定づけた『仮面ライダーV3』の放送50周年を記念し、宮内さんが演じた風見志郎ことV3の奮闘を振り返ります。
社会問題にもなった「ライダースナック」
黒いイメージの強かった仮面ライダー1号と2号に比べ、仮面ライダーV3は鮮やかな赤と緑が基調となり、ド派手な印象がありました。ライダー1号の「技」とライダー2号の「力」をあわせ持った、新しいライダーです。バージョンアップした新ヒーローに、テレビの前の子供たちはワクワクが止まりませんでした。
第1話と第2話には、ライダー1号こと本郷猛(藤岡弘)、ライダー2号こと一文字隼人(佐々木剛)も出演し、V3誕生に花を添えました。悪の組織「デストロン」に両親と妹を惨殺されたという悲しみにV3は耐えながら、「デストロン」が放つ改造怪人たちと戦います。
宮内さんのヒーローらしいルックスと体を張ったアクションシーンで、『仮面ライダーV3』は『仮面ライダー』に匹敵する人気を博します。バイクを走らせながら変身ポーズを決めるなど、スタントマンなしでのアクションに、宮内さんは次々と挑みました。
当時の子供たちの間では、カルビー製菓が発売する「仮面ライダースナック」についている「仮面ライダーカード」を集めることが大流行していました。カードだけ抜き取って、スナックは食べずに公園などに捨てられることも多く、社会問題になっていました。
パッケージを変えた「V3スナック」も発売されたのですが、残念なことに『仮面ライダーV3』放映中の1973年7月で販売終了となってしまいました。サクラの花の形をした、あの甘いスナックの味が懐かしく感じられます。