『進撃の巨人』光るムカデの正体は? どうして始祖ユミルにとりついたの?
断種計画のジークと皆殺しのエレン

ジークは世界中から差別され憎悪の的となっているエルディア人を救うため、この世にエルディア人が生まれてこない世界を作ろうとしました。生まれてこないほうが幸せだったとして、始祖ユミルの力を使ってエルディア人を強制的に断種しようとしたのです。これは地球の歴史においても各地でたびたび語られてきた反出生主義(英: antinatalism)の一種で緩やかな滅びの道です。
しかしエレンはジークの計画を拒否。エルディア人の生存を許さない世界を逆に破壊してしまおうと考え、遂に地ならしを発動しました。「光るムカデ」の意思を理性でねじ伏せたジークに対し、あらゆる束縛を嫌って「光るムカデ」の意思を暴走させたエレンは対照的です。
●どうやってエレンの思想を乗り越えるのか?
『進撃の巨人』において既にジークの思想は否定され、最終話に向けてエレンの思想が試されています。自分たちが生きるために他人を殺すことはどの程度許容されるのか、一方的に殺意を向けてくる相手なら殺してもいいのか、差別構造の歪みは正されるのか、憎しみは継承されるのか、共存する道はないのか?
エレンの地ならしによって最大の利益を受けるのはパラディ島の住人たちです。自分たちを殺そうとする人間が残らず踏みつぶされ、生存が保証されます。しかし最大の受益者であり、エレンの幼馴染でもあるアルミンやミカサたちが、地ならしを止めようとするのはなぜなのか?
そこには「虐殺は許されない」といった建前だけでは語れない複雑な感情が入り混じっています。物語はクライマックスに向けて最終加速を始めました。人類は盲目的なまでの生への渇望にドライブされた憎しみを超越することはできるのでしょうか?
「Final Season完結編」の後編で描かれる、物語の着地点をあなたの目で見極めましょう。エンディングではきっと言葉にならない思いが去来するはずです。
(レトロ@長谷部 耕平)




