『ガンダム』「TVでは放送しづらい」ララァ・スンの秘められた過去
『機動戦士ガンダム』の人気キャラクターといえばアムロとシャア。宇宙世紀の歴史に残る英雄たちです。そのふたりに多大な影響を与え、生涯にわたって消えない傷をつけた「運命の女」がいます。
ララァはアムロとシャアにとって青春の過ちのシンボル

アムロとシャアの人生に大きな影響を与えたララァ・スン。彼女が登場してから一気に『ガンダム』のニュータイプ神話が加速しました。そんなララァはシャアと行動を共にするまで何をしていたのでしょうか?
この記事ではララァの過去に迫ります。
●ミステリアスなニュータイプ
1979年に放送が始まったTVアニメ版『機動戦士ガンダム』はもちろん、1981年から1982年にかけて上映された劇場版三部作においても、ララァの過去は全くの謎に包まれています。作品から彼女の生い立ちを推察することは出来ません。
しかしそれから20年ほどが経過した2000年、富野監督による小説『密会 アムロとララァ』(初出は1997年に全2巻で発売された角川mini文庫)が発売されました。そこにはララァの驚くべき生い立ちが描かれています。
●高級娼婦ララァ・スン
『密会』におけるララァはインド地区ディリーの擁護院で育ち、9歳の時に養女に出されています。彼女を引き取ったのは高級娼館「カバス」の主人。彼はララァに恋人としての規範や振る舞いなどを教育しました。ララァは17歳で初めて客を取り「女」になります。
その後、ザンジバル級機動巡洋艦の受領のためにインドを訪れたシャアが、ジオン軍人としての素性を隠してララァの前に現れました。シャアが「カバス」を訪れた理由について、小説版では「呼ばれた」など曖昧に書かれており、断定的な記述はありません。
しかしこの時のシャアは「心が荒んでいてジオンなどは眼中にない心境だった」と発言しています。シャアは一目で彼女の素質に気づき、宇宙に来るよう誘いますが、ララァは申し出を受け入れませんでした。