昭和ゲーム少年を泣かせた「リセットボタン」の悲劇 事故だけでなく「母ちゃんの鉄槌」も
怒りの鉄槌や事故、果ては妨害行為も!?

●無慈悲だが自業自得な「叱られリセット」
ここからは、人間が引き起こした「僕じゃないリセット」に迫ります。当時、家でゲームを遊ぶと、母親に目撃される状況が多くありました。昭和の頃は、家にあるTVはリビングに一台きりという家庭が多く、また専業主婦の割合が高かったため、「母親がいる時に、リビングで遊ぶ」という形がスタンダードだったのです。
そのため母親は、子供がどれくらいの時間遊んでいるのか、かなり正確に把握できます。プレイ時間が許容範囲を超え始めると、「宿題はやったの?」「そろそろ切り上げて、勉強しなさい」といった警告が出始めますが、遊んでる側は「もうちょっとだけ」「ここをクリアしたら勉強するから」とつい粘ってしまいます。
しかし、「もうちょっとだけ」のはずが数十分、時には1時間を超えることも。そこまでくれば、母親も甘い顔ばかりしていられません。容赦なく伸ばす指先が、リセットボタンに迫ります。そこで子供がようやく焦るも、全ては後の祭りでした。
母親の怒りによる「叱られリセット」「母リセット」は、過度に遊び続けた結果の制裁として、たびたび発動しました。これについては、自業自得と言う他ありません。
●リビングで起こる悲しき事故「掃除機リセット」
母親からの叱責として下されるリセットは多いものの、こうした因果応報だけでなく、ちょっとしたアクシデントによるリセットもありました。先ほど述べた通り、当時のプレイ環境はリビング。家族間におけるパブリックな場所なので、個人の思うようにいかない場合も多々あります。
子供はゲームを遊びたい。母親は掃除をしたい。どちらも後回しにできない時は、平行して行う形になります。TV画面の中では勇者が敵を倒し、リアル世界では掃除機がゴミを駆逐する。スペースを占有する子供と、掃除機で音を立てる母親。どちらも、若干邪魔だなーと思いつつも、大きな問題なく共存できる範囲内です。
しかし、その掃除機がたまたまゲーム機に当たってしまうと、事態は急転直下。ゲーム機は精密機械なので、振動には弱く、ちょっとした衝撃でも誤作動を起こす可能性があります。仮に「コツン」程度のぶつかりでも画面が暗転、という事態も珍しくありません。
誤作動やエラー、暗転が起きれば、まともなゲーム進行は不可能。こうなれば、リセットを押すしかありません。最後の一手を自分で下すとしても、リセットに至る事情は悲しい事故が発端。こうしたケースも、当時は多々ありました。「事故リセット」や「掃除機リセット」とも呼ばれる、非常に悲しい出来事です。
●わざとなら有罪決定!「よろけリセット」
飼い猫の行いや自業自得による叱責、不幸な事故などを取り上げましたが、最後は最も理不尽なリセットに迫ります。これは、友達や兄弟と一緒に遊ぶ時に発生する可能性があり、時に人間関係にも影響を及ぼしかねません。
対戦ゲームをプレイし、いよいよあと一撃で勝負が決まる……と思った瞬間なぜか暗転し、タイトル画面に逆戻り。驚いてゲーム機を見ると、友達がリセットボタンに触れています。「いやー悪い悪い、間違って触っちゃった」と弁明するも、負ける寸前だった友達が強引に勝負をチャラにしたのは明らかです。
「ぶつかっちゃった」「手が滑った」と、白熱して我を忘れたアクシデントを装い、負けをなかったことにする「よろけリセット」「手滑リセット」も、理不尽なリセット事件としてポピュラーな存在でした。抗議したところで、事故だと言い切られれば証拠はないため、水掛け論にしかなりません。
なかなか理不尽な行為ですが、立場が対等な友達同士ならまだマシな方です。力関係に差があると、誤魔化すことすらせず、さも当然の権利とばかりにリセットし、自分が勝つまで繰り返す「ごり押しリセット」だと、まさに目も当てられません。接待ゴルフのように最初から相手を持ち上げる覚悟で臨むか、二度と一緒に遊ばないか、もはやこの二択しかなく、最も罪深い「僕じゃないリセット」と言えるでしょう。
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最近のゲーム機は、ホーム画面に戻るボタンがコントローラにある場合が多く、本体にはもうリセットボタンがありません。そのため、こうした「僕じゃないリセット」が招く悲劇は、すっかり姿を消しました。
とはいえ、猫は今もゲーム機に体を摺り寄せますし、遊んでばかりいると親に怒られます。リセットボタンの存在がなくても、さまざまな喜悲劇は今も起こるので、的確に対処しつつゲームライフを楽しみましょう。
(臥待)





