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子供たちを悩ませた、アニメの「裏番組」対決 人気ロボットアニメどうしが「激突」?

1960年代から1980年代前半頃は、TVが一家に1台しかないのが普通で、家庭用ビデオデッキの普及率も低かったため、複数のアニメが同じ曜日の同じ時間に放送されていた場合、どれかひとつしか見られませんでした。特に人気のアニメ番組が重なってしまい、多くの子供たちが困ったケースもありました。

激突した2作品とも、後世に語り継がれる名作に

『太陽の牙ダグラム』と同じ放送日時で視聴率を争った、『六神合体ゴッドマーズ』主題歌EP(キングレコード)
『太陽の牙ダグラム』と同じ放送日時で視聴率を争った、『六神合体ゴッドマーズ』主題歌EP(キングレコード)

 1981年に放送されたロボットアニメ『太陽の牙ダグラム』と『六神合体ゴッドマーズ』は、いずれも大きなムーブメントを起こした名作として知られています。しかしながら、当時関東圏に住んでいた子供たちのなかで、最初から最後まで両作品を見たことがある方は、あまりいないことをご存知でしょうか。

 実は、両番組とも金曜日の18時から放送されていた上に、家庭用ビデオデッキの普及も低い時代だったため、どちらかしか見ることができない状態だったのです。当時の子供たちを困らせた番組の組み合わせを振り返ります。

『六神合体ゴッドマーズ』は故・横山光輝先生の原作『マーズ』を大胆にアレンジした作品で、主人公の超能力者マーズこと明神タケルがTVアニメ史上初となる六体合体のロボット「ゴッドマーズ」に乗り込み、全宇宙の支配を狙うズール皇帝など数々の悪と戦う物語です。特に物語序盤に繰り広げられたタケルと双子の兄であるマーグの骨肉の争いは、多くの人、特に女性ファンの心をわしづかみにしました。

『太陽の牙ダグラム』は地球の植民地として搾取される惑星デロイアで巻き起こった独立運動をテーマに、命がけで戦う若者たちと、政治的謀略渦巻く大人たちの両面から描いた作品です。第1話冒頭に破壊されたダグラムを登場させて主人公たちの敗北を暗示するなど、後に『装甲騎兵ボトムズ』など数々の名作アニメを手掛けた高橋良輔監督の手腕が光る作品です。

 実のところ、両作品は同じ曜日・時間帯の放送ではありましたが、放送開始日は『ゴッドマーズ』が10月2日、『ダグラム』が23日だったため継続視聴者を最初につかんだ『ゴッドマーズ』が有利だったと思われます。特に当時はTVが一家に1台の時代だったため、姉や妹がいた男子も『ゴッドマーズ』派になった可能性が高かったのではないでしょうか。

 おそらく『ダグラム』側も不利を実感していたのでしょう。20話以降は放送時間を17:55に早め、『ゴッドマーズ』より早く番組を始めて子供たちを引き付けようとしていました。対する『ゴッドマーズ』側も1982年4月から放送時間を17:30へと移行しており、激しいつばぜり合いが繰り広げられていたことがうかがえます。

 なお、そのような状況ながら両番組とも放送が延長されるほどの人気を獲得しており、1980年代前半のロボットアニメがどれほどの存在感を持っていたのかを示しています。もし最初から放送時間がずれていたら、どうなっていたのかは興味深いところです。

【画像】どちらが好きだった? 視聴率を争った人気アニメのロボットたち(8枚)

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