『ガンダム』の皮肉屋、カイ・シデン ホワイトベースで担っていた「真の役割」とは?
『機動戦士ガンダム』に登場したカイ・シデンは斜に構えた皮肉屋で、当初は周囲からもそれほど頼りにされてはいませんでしたが、ジオン軍との戦いやミハルとの悲しい別れを乗り越え一人前のパイロットに成長し、ア・バオア・クーの最終決戦を生き残りました。その後はジャーナリストとなり、『Zガンダム』や『ガンダムUC』にも登場しています。
当初は「情けない男」として描かれた

『機動戦士ガンダム』に登場したカイ・シデンは、当初は質の悪い冗談や皮肉をしばしば口にして周囲に嫌われる、斜に構えたキャラクターとして描かれていました。しかし戦いのなかで成長しホワイトベースの仲間たちとも徐々に打ち解け合い、パイロットとしても奮戦して最終決戦を生き残りました。
戦後はジャーナリストとなり、『機動戦士Zガンダム』や『機動戦士ガンダムUC』などの作品にも登場し、ホワイトベース乗員のなかではブライト・ノアと並んで長く活躍するキャラクターになりました。『ガンダム』におけるカイの重要度が決定的になったのは、戦闘での活躍だけではなく、ホワイトベースにおいて「真の役割」を獲得したからであると考えられます。
カイが初めて登場したのは2話「ガンダム破壊命令」で、ジオン軍の攻撃におびえホワイトベースに逃げ込もうとして、セイラ・マスに「軟弱者!」と平手打ちを喰らうシーンとなります。セイラさんが特別なキャラクターであることを示すための当て馬に使われてしまっているところに、初期のカイの情けなさがにじみ出ています。
しかし正規の軍人が多数戦死し、人手不足に悩むホワイトベースでは動ける若者というだけで貴重な戦力です。3話「敵の補給艦を叩け!」では大型特殊のライセンスを取得していたことからガンタンクの操縦士としてハヤト・コバヤシと共に出撃し、パプア補給艦の撃沈に貢献しています。
8話「戦場は荒野」以降はガンキャノンを任されたカイでしたが、正規の訓練を受けておらず、アムロほど特別でもないため敵モビルスーツに翻弄されるシーンも多く、何度も攻撃を受けて窮地に陥ります。ガンキャノンの重装甲と仲間たちの助けもあり、辛うじて生き延び続けました。8話では崖上から敵のザクIIを突き落として破壊することに成功しており、これがカイにとって初めてのモビルスーツ撃破となりました。
そしてこのあたりから、カイがホワイトベースで担っていた真の役割が少しずつ顔を出すようになっていきます。皆の不平不満、不安をはっきりと口にする「感情の代弁者」として機能し始めるのです。