「新作マクロスの制作はサンライズ」が意味するものとは? 期待すべき理由と一点の「懸念」
2023年6月にマクロスシリーズの新作アニメーション企画が始動したことが発表されました。特にファンを驚かせたのは、制作が『機動戦士ガンダム』や『ラブライブ』を手掛けたサンライズだったことでしょう。しかし現在、実はサンライズと言う会社は存在しておらず、単なる商標、名義として名前が残るのみとなっています。いったいどういうことなのでしょうか?
「ロボット」と「歌」 どちらも強いサンライズ
2023年6月4日、マクロスシリーズの新作アニメーション企画が始動したことが発表されました。最新TVシリーズ『マクロスΔ』で活躍した戦術音楽ユニット「ワルキューレ」による公演「ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023~Last Mission~」の最終日に発表され、大きな話題となりましたが、『マクロス』ファンを最も驚かせたのは、制作がサンライズだったことでしょう。
アニメの世界ではしばしば「制作」と「製作」という非常に似ている言葉が登場しますが、「制作」は実際にアニメーションを作る会社、「製作」は資金調達や宣伝などプロデュース全般を担当することを意味します。つまり、新作マクロスはサンライズが直接作るということです。
サンライズといえば、1970年代から80年代にかけて『機動戦士ガンダム』をはじめとする数々の名作ロボットアニメを手掛け、90年代には『勇者シリーズ』で一世を風靡したスタジオとして知られており、当時の少年たちの心のなかでは「サンライズはすごいロボットアニメを作っている会社」と認識されています。期待が高まるのは当然といえるでしょう。
また、2010年代には大ヒットした『ラブライブ!』シリーズを手掛けており、アイドル作品についても確かな実績とノウハウがあります。「歌とロボット」を作品の軸に据える「マクロス」シリーズを手掛けるにあたり、サンライズほど安心感のある名前は、他にそうそう見当たるものではありません。
しかしながら、今の「サンライズ」は「かつてのサンライズ」ではないのも、また事実です。1990年代前半までは「株式会社サンライズ」として独立した存在だったのですが、1994年にバンダイのグループ企業となり、2022年にはグループ内の再編によって映像事業を担う新会社「バンダイナムコフィルムワークス」へと移行。「サンライズ」の名前は法人としては消滅し、現在では商標・ブランド名として使用されている状況となっています。